調音時の鼻咽腔閉鎖機構 : 筋電図学的知見を中心に
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概要
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(i) 研究目的:調音時の鼻咽腔機構を検討することを目的とした.(ii) 研究方法:正常成人(米国人3名,スェーデン人1名,日本人1名)を対象として,口蓋帆挙筋,上咽頭収縮筋,口蓋舌筋に,経口的に有鉤針金電極を挿入し,発話時の筋電図を記録した.このデータを電子計算機によつて処理し,各筋の平均的活動パターンを求めて比較した.(iii) 研究結果:1. 口蓋帆挙筋は鼻咽腔閉鎖を伴う非鼻音性調音に関して,最もprimaryな意義をもつ.2. 上咽頭収縮筋および口蓋咽頭筋は,やはり非鼻音性調音に関与しているが,発語時の咽頭腔の大きさを制御する機構にも関与する.3. 鼻音性調音は,主として上述した筋の弛緩によつて起るが,口蓋舌筋の関与を示唆する所見も,少数例においてみとめられた.しかし,口蓋舌筋の機能はprimaryには舌の挙上に関与していると推論された.4. 非鼻音調音においても,今回検討した筋の活動には,各種の音声学的環境に対応した変動があり,これらの各筋の機能は単純なものでないことが示唆された.
- 社団法人 日本耳鼻咽喉科学会の論文
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