大酒家肝硬変患者にみられた無症候性原発性胆汁性肝硬変の1例

概要

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アルコール性肝硬変と思われる大酒家の肝硬変に,無症候性原発性胆汁性肝硬変(無症候性PBC, Scheuer第I期)を伴った55歳男性例を報告する.日本酒1日3合強,38年間の飲酒歴がある.輸血歴,常用薬剤,黄疸の既往はない.自覚症状はなく,肝機能異常精査のため入院した.身体所見で肝腫大,くも状血管拡張,手掌紅斑を認めた.検査成績はGOT 125U/l, GPT162U/l,γ-GTP 153U/lと軽度上昇を示したが,総ビリルビン(0.5mg/dl)および血清アルカリフォスファターゼ(64U/l)は正常値であった.HBウィルス抗原・抗体系はすべて陰性.IgMは1,400mg/dlと著増し(IgA 334mg/dl, IgG 1,720mg/dl),抗ミトコンドリア抗体も強陽性(1,280倍)であったが,抗平滑筋抗体をはじめ他の流血抗体はいずれも陰性であった.腹腔鏡では斑紋小結節肝,肝生検では小結節性肝硬変に加え小葉間胆管の明瞭な変性・破壊像とその周囲の著明な単核球浸潤(PBCのScheuer第I期像)を認めた.