原発性肝癌における血清アミノグラムの特徴に関する臨床的ならびに実験的検討
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
原発性肝細胞癌を合併する肝硬変21例(肝性脳症を伴う7例を含む)と肝癌を認めない肝硬変19例(脳症を伴う8例を含む)の血清アミノ酸濃度を測定し,肝癌例でみられる特徴所見とその臨床的意義について検討した.脳症を伴わない肝硬変例で肝癌合併の有無から血清アミノグラムを比較すると,肝癌例では一般に血清アミノ酸濃度が低値で,肝癌非合併例と異なりPhenylalanine, TyrosineやMethionine濃度の増加は認められず,分枝鎖アミノ酸(BCAA)/芳香族アミノ酸(AAA)比の低下も軽度であった.肝癌例が脳症に陥ると,AAAやMethionine濃度の増加とBCAA/AAA比の低下,すなわち肝不全パターンへと変化を示すが,その濃度は脳症を呈する肝硬変例にくらべてなお軽度であった.DL-エチオニン投与による実験的肝細胞癌ラットの血清アミノグラムでは,ヒト肝癌例の変化に類似する傾向を示し,肝癌組織中のアミノ酸は非癌・結節肝や正常肝に比し一般に増加した.肝癌組織の旺盛な蛋白合成に必要なアミノ酸の需要増加に起因すると思われる血清アミノグラムの肝癌例での特性とその経過中の変化を知ることは,診断面のみならず肝性脳症の発症・予知や予後の判定に有益と思われる.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文
著者
-
東 俊宏
岡山大学医学部第一内科
-
東 俊宏
岡山大学 第1内科
-
長島 秀夫
岡山大学医学部第一内科
-
渡辺 明治
岡山大学医学部第1内科
-
東 俊宏
岡山大 医
-
林 正作
岡山大学医学部第一内科
-
小畑 尚宏
岡山大学医学部第一内科
-
東 俊宏
岡山大学医学部第1内科
-
長島 秀夫
岡山大学医学部小坂内科
-
林 正作
岡山大学医学部第1内科
-
小畑 尚宏
岡山大学医学部第1内科
-
長島 秀夫
岡山大学医学部付属病院第一内科
関連論文
- インターフェロン投与により高マクロ・クレアチニン・キナーゼ血症(Type 1)を呈したC型慢性肝炎の1例
- 潜在性肝性脳症の早期診断における頭部MRIの有用性
- 561 生体肝移植手術9例の手術成績
- 662 成人生体肝移植手術の問題点
- 生体部分肝移植にて救命しえた自己免疫性肝炎の劇症化例
- 木村病とアルコール性肝硬変に合併した肝内出血の1例
- B型及びC型肝硬変の肝細胞癌発生
- W7-10 慢性胆汁うっ滞性肝疾患に対する肝臓移植における, 新しいサイトカインIL-18の特異的変動 : 慢性胆汁うっ滞性肝疾患の病因と治療への新たなる可能性
- 原発性胆汁性肝硬変に対する成人生体部分肝移植の1例
- 進行肝細胞癌の治療 : 門脈腫瘍塞栓に対する放射線療法
- 65)気管支喘息を合併した拡張型心筋症にβ-blockerを投与し心機能の改善をみた一例
- 肝細胞癌の治療法の選択と長期生存
- 右室肥大における右室心筋酵素代謝の検討
- EIA法による血清AFP濃度の測定--RIA法との比較を中心に
- 肝不全の経腸成分栄養 (肝不全治療法の進歩--分岐鎖アミノ酸療法と人工肝補助装置を中心に) -- (アミノ酸代謝と特殊組成アミノ酸療法)
- 肝障害時の薬物代謝異常に関する臨床薬学的研究
- 肝障害時のAzathioprine代謝の異常
- 四塩化炭素肝障害ラットにおける1-(2-Tetrahydrofuryl)-5-fluorouracilの血中消失速度定数に及ぼす還元型グルタチオンとビタミンEの影響
- 肝性昏睡に対する分枝鎖アミノ酸輸液の臨床効果
- 4)肝障害における補体の動態について(VI 補体 VI-1 補体研究への問題点)
- アルコール代謝に及ぼすキノン誘導体の影響
- アルコール代謝に及ぼすパンテチン投与の影響
- 劇症肝炎の予後判別の検討
- 肝性脳症慢性型を呈する肝硬変症にみられた頭蓋内出血の1剖検例
- 19)肝細胞におよぼす抗肝抗体の影響
- II-9 肝疾患時の補体に関する研究(第4回補体シンポジウム II臨床的研究)
- 4.肝疾患時の補体に関する研究 (続報)(第3回補体シンポジウム II 各種疾患における補体及び補体成分の変動)
- 肝性脳症における髄液中性アミノ酸濃度の異常と分枝鎖アミノ酸輸液の影響
- インスリンとグルカゴンの同時投与を試みた劇症肝炎の生存例
- 劇症肝炎の治療における分枝鎖アミノ酸輸液の臨床的意義
- 重症肝疾患における栄養輸液 : 血清アミノ酸濃度の不均衡是正を中心にして
- ベルベリンのラット胆汁分泌に及ぼす作用 : 胆道クリアランスと肝ミクロゾーム機能を中心として
- B.ウイルス肝炎の臨床 : 司会者のまとめ
- (3)肝疾患
- 酵素学的検討により明らかにされたヒト最小偏倚肝癌の1例
- 3)抗肝抗体に関する検討(VII 自己免疫疾患と自己免疫現象)
- 肝疾患における補体レベル(第2回 補体シンポジウム記録)
- 飲酒により増悪を繰り返したアルコール性肝硬変
- 食道 Mucosal Bridge を伴つた全身性エリテマトーデスの1症例
- Macroamylasemiaの1症例とそのmacroamylaseの存在様式の検討
- 肝硬変の病態栄養学的研究(第1報) : 摂取食餌内容とくにその蛋白構成アミノ酸組成と栄養指標ならびに肝病態との関連性について
- B型肝炎におけるHBs抗体の臨床的意義について : 受身赤血球凝集反応による成績を中心に
- 化学療法することなく14年間生存中の悪性リンパ腫の1例 : 消化管病変を中心に
- 原発性肝癌における血清アミノグラムの特徴に関する臨床的ならびに実験的検討
- 分枝鎖アミノ酸製剤の輸液が著効した肝硬変(肝性脳症慢性型)の1例―肝性脳症の発現機序を中心として
- 原発性肝癌における 1-(2-tetrahydrofuryl)-5-fluorouracil 代謝の特性とその臨床効果
- 肝細胞癌における肝組織内HBs抗原およびHBc抗原の局在について
- B型肝炎におけるHBc抗体の検出法とその臨床的意義について : 蛍光抗体補体法による成績を中心に
- 脾梗塞を伴つた孤立性脾膿瘍の1例
- 腹腔鏡および超音波断層法で観察し得た肝adenomatous hyperplasiaの1例
- 正常膵および機能低下膵各1例におけるsecretin連続漸増投与時の純粋膵液の検討
- 各種肝疾患における肝Alcohol dehydrogenase活性とIsozymeの研究
- ウイルスマーカーの消長からみたHBe抗原陽性慢性肝炎に対する溶連菌製剤(OK-432)の効果について
- ウイルス肝炎における血清中Clq値とその臨床的意義について(速報)
- 肝疾患における異常塩基性γグロブリン
- 高分子GOT血症を呈した2症例
- 人生検肝組織におけるGlucose-6-phosphatase活性局在の電顕的観察(速報)
- 慢性B型肝炎,肝細胞癌患者の肝組織内Clqの局在(速報)
- Expression of sialyl Lea and sialyl Lex antigens in human hepatocellular carcinomas.
- A case of necrotizing angiitis in the liver associated with infection of the biliary tract.
- A case with multiple lymphomatous polyposis.
- 粘液産生膵癌の1手術例
- A CASE OF HUMAN COCCIDIOSIS WITH WATERY DIARRHEA, EOSINOPHILIA AND BILE DUCT PROLIFERATION
- A Case of Caroli's Syndrome with Septic Symptoms as a Main Clinical Manifestation
- タイトル無し
- Ultrastructure of Leu-7 positive cells (NK/K cells) in the liver tissue and peripheral blood of the patients with type B chronic active hepatitis.
- A SIMPLE-RAPID METHOD FOR DETERMINING BLOOD AMMONIA LEVELS OF PATIENTS WITH LIVER DISEASES AND ITS CLINICAL EVALUATION
- 若年性胃ポリポーシスの一家系
- LIVER INJURY IN KIDNEY TRANSPLANT PATIENTS:RECEIVING AZATHIOPRINE
- A CASE OF HEPATOCELLULAR CARCINOMA WITH HYPERCHOLESTEROLEMIA, ERYTHROCYTOSIS AND HYPOGLYCEMIA
- タイトル無し
- Characterization of the receptor for polymerized human serum albumin on hepatitis B virus
- Pharmacodynamics and Effectiveness of 1-(2-Tetrahydrofuryl)-5-Fluoro Uracil (FT-207) in Liver Injury
- Effects of 5-Fluorouracil, 1-(2-Tetrahydrofuryl)-5-fluorouracil and 1-(n-Hexylcarbamoy1)-5-fluorouracil on Drug-metabolizing Enzyme Activities in Mouse Liver
- タイトル無し
- タイトル無し
- A FAMILY WITH JUVENILE POLYPOSIS... FAMILIAL JUVENILE POLYPOSIS OF THE STOMACH
- Induction of Hepatic Key Glycolytic Enzymes by Liver Injury
- タイトル無し
- タイトル無し
- タイトル無し
- タイトル無し
- 四塩化炭素肝障害ラットにおける1-(2-Tetrahydrofuryl)-5-fluorouracilの血中消失速度定数に及ぼす還元型グルタチオンとビタミンEの影響
- タイトル無し
- Immunohistochemical study of Leu-7+ cells (natural killer/Killer cells) in the liver tissue of the patients with type B chronic liver disease with and without hepatocellular carcinoma.
- Role of Cyclic Adenosine 3', 5'-Monophosphote in the Induction of Liver Glucose 6-Phosphate Dehydrogenase by Liver Injury and High Carbohydrate-Fat Free Diet
- タイトル無し
- Alteration of Neutral Amino Acid Transports across the Blood-Brain Barrier in Hepatic Encephalopathy
- :a. VIRAL HEPATITIS
- Detection of Impaired Drug Metabolisms in Patients with Liver Injury by Measuring Pharmacokinetics on High Performance Liquid Chromatography
- Intestinal lymphangiectasia complitated with protein-losing gastroenteropathy in a case of mitral regurgitation
- タイトル無し
- タイトル無し
- AN APPROACH OF NUTRITIONAL MANAGEMENT BY ENTERAL ALIMENTATION WITH AN ELEMENTAL DIET IN PATIENTS WITH SEVERE LIVER INJURY