体質性ICG排泄異常症の1例 : その排泄異常機構についての1考察
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概要
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症例は27歳の男性で,軽度の肥満があり,総ビリルビン値,トランスアミナーゼ活性値の軽度上昇を認めた.BSP 45分停滞率は3.0%と正常であったが,ICG 0.5mg/kg負荷時のKICGは0.026と著明に低く,ICG 15分停滞率は79.5%と著明な高値を示した.ICGの移行率は,a(肝の摂取率),b(血漿への逆流率),h(胆汁への排泄率)のすべてが低値を示し,特にaの著明な低下を認めた.ICG負荷量を増すに従い,コントロールではa, bともに低下したが,本例ではaは変化せず,bは増加した.ICG最大除去能(Rmax)は0.09と著明な低下を認めた.肝の電顕像は肝細胞内リポフスチン様顆粒の増加,滑面・粗面小胞体の小粒状化があったが,そのほかに滑面小胞体腔内にはやや電子密度の高い小粒子を多数認めた.家族調査では妹に本例と同程度の,姉に軽度のICG排泄異常を認めた.<BR>以上の事より,本疾患の本態は肝細胞のICGに対するreceptor-carrier proteinの飽和指数が極度に低く,これに加えて肝内のICG転移機構も障害されている点にあると推測された.
- 社団法人 日本肝臓学会の論文
著者
-
松田 芳郎
金沢医科大学健康管理センター
-
高田 昭
金沢医科大学消化器内科
-
高瀬 修二郎
金沢医科大学
-
中谷 泰康
金沢医科大学消化器内科
-
森川 俊洋
金沢医科大学消化器内科
-
森川 俊洋
金沢医大
-
高田 昭
金沢医科大学
-
中谷 泰康
金沢医科大学内科学(消化器)教室
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