D-Penicillamine の研究(第4報) 抗体産生系に対する作用
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概要
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D-penicillamine(D-PA)の免疫調節作用を検討する目的で,D-PA のマウス IgE 産生系に対する作用を調べた.実験は D-PA の投与時期と抗原感作量を変えて,また,免疫機能を低下させるためにマウスにストレス負荷した条件で,D-PA の作用を検討し,他の抗リウマチ剤,免疫抑制剤との比較を行った.その結果,至適量の抗原を2回投与する実験では D-PA の免疫学的作用は他の免疫抑制剤と比べて非常に緩和なものであり,また,aurothiomalate(ATM),chloroquine diphosphate(CQ)とは作用が異なることが判った.また,1次抗原量を変化させ,2次抗原量を一定とする実験では1次抗原量が少量の場合には抑制作用があらわれるが,1次抗原量が増加すると D-PA の抑制作用があらわれにくくなることが認められた.しかし,あらかじめ免疫機能を低下させる目的で handling ストレス,拘束ストレスを負荷したマウスでは,D-PA 投与により低下した免疫機能の回復がみられた.この際,ストレスにより低下した脾臓重量にも D-PA 投与による回復がみられた.以上のことから,卵白アルブミンに対して high responder である BALB/C 系マウスでは,免疫機能が正常な場合には D-PA による抑制作用がみられるが,ストレスで免疫機能を低下させると逆に回復作用があることが認められた.脾臓重量の回復も認められたことから,D-PA はストレスにより抑制された脾臓細胞に何らかの作用を及ぼし,抗体価の回復を生じるものと思われる.このように,D-PA には免疫抑制と免疫賦活の両作用があり,免疫機能の状態によって作用が異なることから,免疫調節作用を有するものと考えられた.
- 社団法人 日本薬理学会の論文
著者
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小友 進
大正製薬総合研究所
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大関 正弘
大正製薬株式会社 総合研究所
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竹下 紀美代
大正製薬株式会社 総合研究所
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小友 進
大正製薬株式会社・健康科学研究所・薬効評価研
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国府田 寿子
大正製薬株式会社総合研究所薬理研究室
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小友 進
大正製薬株式会社 総合研究所 薬理研究室
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