雌鶏の前舌腺(Anterior lingual gland)の腺細胞のグリコーゲン含有核発現について

概要

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著者は,さきに,産卵鶏の前舌腺の腺細胞核中に,グリコーゲンが含まれることを報告した。このようなグリコーゲン含有核の形成機構およびその意義を解明する手段の一つとして,年令別雌鶏の前舌腺におけるグリコーゲン含有核の発現をしらべた。材料は,白色レグホーン種の雌74羽から得た。グリコーゲン染色は,PAS染色,BAUER-FEULGEN染色,玉手改良BESTS carmine染色およびLANGHANSヨード染色によつた。グリコーゲンの確認には,唾液,diastase,α-amylaseおよびβ-amylaseによる消化を用いた。成績の概略は次の通りである。1. グリコーゲンは,2日から30日令の雌ヒナの前舌腺の細胞核にはみられなかった。2. グリコーゲンは,45日令のヒナのあるものに,はじめて認めることができた。このことから,その発現は,おそらく,30日から45日の間であろうと思われる。3. グリコーゲンは,その後,若雌および産卵中の鶏では,ずつと発現がつづいていたが,換羽中には消失した。しかし,換羽が終り,産卵がはじまるとともに,ふたたび現われた。4. グリコーゲン含有核を有しない前舌腺は,その構造が簡単である。すなわち,腺の分枝が少ない。また,その細胞中の粘液が多い。しかし,グリコーゲン含有核を有する前舌腺は,腺の分枝が複雑であり,その細胞中の粘液は少ない。以上のことから,卵巣の発育,前舌腺の組織的変化,グリコーゲン含有核の発現の三者間に,なんらかの関連性があるかもしれないと思われる。5. グリコーゲン含有核は,若雄のうちにも,一定時期に現われることがある。これについては,改めて報告する。
社団法人日本畜産学会の論文

雌鶏の前舌腺(Anterior lingual gland)の腺細胞のグリコーゲン含有核発現について

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