牛筋組織の構成単位としての筋束の構築
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概要
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牛の肉質を形態学的に明確にする目的で, 筋の筋束の構築について組織学的に調べた.用いた肉牛は黒毛和種雄去勢5頭, 日本短角種雄去勢3頭で, 枝肉重量は前者の平均が310kgで後者の平均は370kgであった.冷屠体の88種の筋から総計100部位の材料を採取した.ホルマリンーカルシウム液で固定し, 横断および縦断の組織標本を作製した. ライッ社の画像解析装置によって各筋の筋線維の横断面積を測定し, その平均面積を筋線維の太さとした.筋線維の太さは小型の筋より大型の筋で, また後肢遠位部の筋より近位部を構成する筋で太かった.二次筋東間の血管から分枝した細動静脈は横行して筋東中央部に侵入し, 二次筋束の中央を2-5mm縦走していた.この細動静脈から各一次筋束に毛細血管が分枝し, 一次筋東内で毛細血管床を形成していた.また筋東内細動静脈の周囲には脂肪組織の形成がみられた.このような筋束の構築は両品種とも同じであって, しかも太い筋線維をもつ筋組織でより明瞭に出現していた.このような二次筋東内の細血管の走行と, その血管周囲に脂肪組織が存在する筋東の構造は牛筋組織の特徴である.また, 一次筋束は二次筋束の構造単位に過ぎず, 肉牛の肉質を形態学的に研究するには肉眼でも可視の二次筋束を中心に考えることが有効であると考えられる.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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