近交系ウズラにおける蛋白質多型の特性ヘテロ有利性の検討
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概要
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ウズラの近交系における蛋白質多型の特性を明らかにする目的で,酸性ホスファターゼ型(試験I)と,ヘモグロビン型(試験II)を標識として,近交系におけるこれらの座位のヘテロ有利性の有無について検討を行なった.2つの座位のヘテロ有利性の検討については,それぞれ独立に近交系を作出して試験を行なった.近交系の作出にあたっては酸性ホスファターゼ型,あるいはヘモグロビン型について,ヘテロ型同志のFull-sib交配を行なった.また,ヘテロ有利性の有無については,各座位の表現型の分離比(理論比,1:2:1)を調べることによってたしかめた.1. 酸性ホスファターゼ型を標識とした試験Iと,ヘモグロビン型を標識とした試験IIにおける各世代の8週齢時生存率をみると,近交0世代では,いずれも80%前後であるが,以後,世代が進むとともに減少する傾向が見られた.試験IIでは,第4世代で家系が絶滅したが,試験IIではFull-sib 9世代まで維持することができ,現在,世代の更新中である.2. 酸性ホスファターゼ型について,ヘテロ型同志のFull-sib交配(AB×AB)による各世代の表現型の分布をみると,Full-sib 2世代目をのぞいて,AA:AB:BBがほぼ1:2:1の比率で分離した.3. ヘモグロビン型を標識として,ヘテロ型同志のFull-sib交配(AB×AB)を9世代続けた結果,いずれの世も,AA:AB:BBが,ほぼ1:2:1の比率で分離した.また,BB型は他の表現型に比較して,ややC-値(観察値/期待値)が劣る傾向が見られた.4. 近交度を高めることにより,酸性ホスファターゼおよびヘモグロビンの各座位のヘテロ効果を期待したが,上述のように,いずれの座位においてもほぼ1:2:1の比率で分離したことから,両座位のヘテロ効果は現われないものと思われる.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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