ニホンウズラにおける血清エステラーゼアイソザイム(E_8-5,E_8-6およびE_8-7)の遺伝変異
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概要
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ニホンウズラの血清エステラーゼについて, その遺伝的支配様式を明らかにする目的で薄層寒天ゲル電気泳動法を用いて分析を行なった.1.陽極側に検出された10本のバンドのうち, バンド5,6および7にそれぞれ個体変異が観察された.すなわち, 3つのバンドともにそれぞれバンドを有するもの(A)とバンドが発現しない(O)ものの2種類の表現型が観察された.交配実験の結果から, バンド5,6および7はそれぞれ遺伝的な支配を受けており, 表現型AはOに対して優性で, これらは常染色体上のそれぞれ独立した遺伝子座に存在する1対の優劣関係にある対立遺伝子によって支配されていることが判明した.そこでこれらの遺伝子座をE_S-5,E_S-6およびE_S-7と命名すると, 遺伝子記号はE_S-5^<A, O>E_S-6^<A, O>およびE_S-7^<A, O>となる.2.E_S-5,E_S-6およびE_S-7エステラーゼについて, 基質特異性ならびに種々の阻害剤に対する反応からエステラーゼの同定を行なった.その結果, これらのエステラーゼはアリエステラーゼであることが確かめられた.3.E_S-5,E_S-6およびE_S-7座位を標識として2つの異なる無作為交配集団について, 表現型分布と遺伝子頻度を推定した結果, E_S-6座位をのぞいてE_S-5とE_S-7座位は鹿児島, 豊橋両集団ともにほぼ同じ傾向を示しE_S-5座位ではE_S-5^Oが, またE_S-7座位ではE_S-7^Oの頻度が高かった.E_S-6座位では, 鹿児島集団でE_S-6^A(0.52)がやや高く, また豊橋集団では逆にE_S-6^Oの頻度(0.71)が高かった.4.3つの座位におけるそれぞれの表現型の組合わせを両集団について比較した結果, 鹿児島集団ではA, A, Oの組合わせが最も多かったが(46.4%), 豊橋集団ではO, O, O(33.8%)およびO, A, O(32.4%)が多く, その他の表現型の組合わせの頻度についても違いが認められた.
- 鹿児島大学の論文
- 1981-03-19
著者
-
橋口 勉
家畜育種学研究室
-
前田 芳實
家畜育種学研究室
-
吉田 良一
大鵬薬品工業株式会社 製薬センター 安全性研究所
-
吉田 良一
大鵬薬品工業株式会社技術本部研究部
-
橋口 勉
鹿児島大 農
-
武富 萬治郎
家畜育種学研究室
-
前田 芳実
家畜育種学研究室
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