スギ,ヒノキおよびカラマツ固定試験地における間伐区と対照区の炭素固定量の比較

概要

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過去30〜61年間にわたって間伐・無間伐の比較試験が行われてきた,現在44〜92年生のスギ・ヒノキ・カラマツ人工林固定試験地11か所の実測の立木データを用い,各調査時点までの炭素固定量を推定し比較した。森林内の現存炭素量だけを評価する場合,生立木に間伐後の林地残材や枯死木を加算しても,また間伐木が搬出されずに林内に残置されるという仮定においても,11か所中10か所の試験地で間伐区の炭素量は対照区を下回り,間伐の反復と加齢に伴ってその差が拡大していた。生立木に間伐木の累積の炭素量を加算した総純成長量で評価した場合,若齢時は大差がないが,加齢に伴って11か所全ての試験地で間伐区の炭素固定量が対照区をやや上回るようになり,両試験区の炭素固定量の差は直近の調査時点で1〜34%であった。間伐木が林地残材,枝葉,加工時の残廃材を含め満度に有効利用されるという仮定の下では,弱度の利用間伐の繰り返しは,炭素固定の観点からも有意義な施業であるといえる。
森林計画学会の論文
2012-03-31