鳥類による種子散布が針葉樹人工林伐採跡地の植生回復に果たす役割
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概要
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針葉樹人工林の伐採跡地における自然植生の回復の実態について調べるために,高知県内の85年生のヒノキ人工林とその伐採跡地において,植生,埋土種子,種子散布者である鳥類と哺乳類の生息状況,および主要な樹種の果実の被食状況について比較した。その結果,伐採跡地に新たに発生した木本植物37種のうち29種が動物被食散布型の種子を持つ樹種であった。伐採跡地に発生する樹種の中には成熟した人工林内には成木が存在しないものの,林内の土壌には埋土種子がある樹種が多かった。人工林内では50種の鳥類と4種の哺乳類が確認されたが,このうち果実食者は鳥類21種であった。伐採跡地と林内の鳥類相を比較したところ,林内では果実食鳥類は種数,個体数とも伐採跡地よりも多かった。伐採跡地の植生を構成する主要な広葉樹6種について,林縁部に成育する個体の果実の被食状況を観察したところ,8種の鳥類によって果実が採食されていた。したがって,伐採以前の人工林における鳥類の被食種子散布が林内の土壌中の埋土種子バンクの形成に寄与し,これを通じて伐採跡地の植生回復に貢献していることが推測できた。
- 応用森林学会の論文
- 2003-03-28
著者
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