森林生態系における果実食鳥類群集の動態と樹木種子の散布(受賞研究総説)
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概要
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我が国において針葉樹人工林の混交林化や広葉樹林化が進められようとしているが,そのためには広葉樹の種子の人工林内への散布の実態と特性を知る必要がある。温帯域では,広葉樹の種子散布において鳥類による被食型散布の占める割合が高い。森林における液果類の種子散布ではヒヨドリやメジロ,ツグミ類などの果実食鳥類が散布者として重要であり,乾果類の種子散布ではキツツキ類,ヒタキ類,カラ類などによる貢献も大きいと考えられる。これらの果実食鳥類は地域ごとの樹木の結実期に多く出現する。樹木と散布者との間のこうした季節的な対応関係は天然林生態系だけでなく,人工林生態系でも見られる。鳥散布樹種の多くは,土壌中に埋土種子バンクを形成し,種子は長期間休眠する。針葉樹人工林の土壌中には,林内に成育しない樹種の埋土種子が多く存在する。人工林の伐採跡地における植生では,埋土種子の発芽による先駆性樹種が大きな割合を占める。伐採跡地には果実食鳥類は少ないので,伐採前の人工林内で果実食鳥類に被食散布された種子で形成された埋土種子バンクから伐採後に発芽するものが,植生の回復に大きな役割を占めると推測される。
- 応用森林学会の論文
- 2007-04-30
著者
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