虚血性脳血管疾患により血行再建術を受けた患者の術後せん妄の発症,持続期間,重症度に関連する要因
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概要
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本研究の目的は,虚血性脳血管疾患により血行再建術を受けた患者の術後せん妄の発症,持続期間,重症度に関連する因子を明らかにすることである.対象は,内頸動脈内膜剥離術もしくは浅側頭動脈-中大脳動脈吻合術を受けた患者144名であった.術後せん妄の発症要因34項目およびその経過について医療記録から情報収集を行い,せん妄の発症および重症度の判定は,日本語版NEECHAM混乱・錯乱スケールを用いた.対象者の平均年齢は65.9±9.1歳で,せん妄発症率は33.1%であった.121名に対し,せん妄の発症および重症度を目的変数とし,AICによる分析を行った結果,せん妄発症における有効な説明変数として,術前の脳血流状態,誘発因子である身体抑制,ライン類の装着数,術後睡眠障害などの影響が示唆された.これにより,せん妄の直接因子とされる脳血管疾患をもつ患者に対しても,看護介入が可能であることが示唆された.また,せん妄の重症度は,疾患の重症度,手術侵襲の大きさによる影響が示された.よって,せん妄は身体内部の異常を示す指標になり,術後の身体管理は,せん妄の重症化予防においても重要であることが示唆された.
- 2011-01-15
著者
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清水 悟
東京女子医科大学医学部衛生学公衆衛生学教室
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水野 敏子
東京女子医科大学
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水野 敏子
東京女子医科大学看護学部
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原沢 のぞみ
東京女子医科大学大学院看護学研究科博士後期課程
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清水 悟
東京女子医科大学
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