看護学生の高齢者虐待への認識(第2報) : 紙上事例認知症高齢者への対応

概要

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本研究の目的は、認知症高齢者への対応に関する紙上場面で、学生が高齢者虐待と認識する判断理由を分析し、教育上の課題を明らかにすることである。看護学科1〜3年生を対象に、認知症高齢者への対応場面についての虐待認識の調査結果を学年の違いとの関係で検討した。紙上場面を虐待と認識する学生は学年が上がるごとに少なく、虐待と認識する理由は学年とともに学生個人としての判断が減少し、専門職としての知識や感性を理由に挙げる学生が多かった。虐待と認識しない学生はわずかであったが、虐待かどうか分らないと回答した学生は学年が上がるほど多く、その理由では紙上場面の対応に違和感を示すカテゴリーも抽出された。学生は、看護学の学習が進むにつれて、知識を根拠に虐待かどうか判断する一方で、『虐待』の定義があいまいになる傾向がうかがえ、『虐待』の定義と具体的な場面が結びつくような教育方法が課題であると考えられた。