看護学生の高齢者虐待への認識(第1報) : 紙上事例を用いた横断的認識度調査
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概要
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看護学科の1年から3年の学生を対象に,高齢者虐待に関する認識度を調査した.紙上事例を用いて,"認識する""認識しない""わからない"の三択で回答を得た.事例は,(1)身体的虐待,(2)世話の放任,(3)心理的情緒的虐待,(4)性的虐待,(5)経済的・物質的搾取,(6)自虐の6場面である.その結果,心理的虐待と経済的虐待の認識度は高く,その他の認識度は低いことがわかった.また,1年と2・3年の学生間に虐待の認識度が有意に低下するという結果となった.高齢者虐待の予防や早期発見は,看護専門職者として高齢者の人権の尊重など倫理的な課題を日常的に敏感に捉えられ,ジレンマを感じられることが基本的な姿勢として必要となる.しかし,学年が上がるごとに虐待事例の判断に迷いが生じ,虐待不感の傾向が見られるという結果となった.今後は,実習体験の意味付けをさらに丁寧に行い,実習環境調整などへの指導上の課題が明らかになった.
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