肉調理におけるハーブの利用 : ハーブの特徴と効果
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概要
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肉調理における匂いは味やテクスチャーと共に製品のおいしさを決定する要因である。一般に肉調理の匂いは、肉の加熱によって発生する匂いと肉に添加された香辛料による香りがミックスしたものである。鶏肉や羊肉の加熱臭は一般に好まれないことが多く、外国では香辛料やハーブなどを利用して嗜好性を高めている。今回は肉調理によく利用されるハーブ15種の特徴を調べ、鶏肉の加熱による不快臭のマスキング効果を検討した。1)肉料理に利用される15種のハーブをよく訓練したパネルによって、香りの内容を識別し、その香りの強弱は円グラフの面積の大小で表わし、円グラフを色分けして表現した。その結果ハーブの香りの表現がより明確になった。2)試料のハーブの香気濃度をニオイセンサで測定した結果、1g当り20℃において110〜300の指示値を示し、比較的低濃度のものはディル、オレガノ、ローズマリーであり、比較的高濃度のものはウインターサボリー、レモングラス、アップルミントであった。3)ハーブを加熱して嗜好的に好ましいものは、オーブン加熱したものと湿熱加熱したものであった。蒸し加熱したものは不快臭となった。4)鶏肉を挽肉にして冷蔵保存中3日目位から匂い濃度が高くなり、官能的にはささみは3日目位、もも肉は4日目位から匂いが低下した。加熱肉も生肉と同様な匂い濃度と嗜好度の変化がみられた。ささみの筋無しやもも肉の皮無しの方が筋付や皮付より匂い濃度が高かった。また湿熱加熱よりオープン加熱の方が僅かに匂い濃度が高かった。5)鶏加熱肉は非通気性の状態で冷蔵保存した場合は、4日経過しても匂い濃度に変化はなく不快臭もなかった。6)鶏生肉を冷蔵保存中にTBA値が上昇した。特にささみの筋付やもも肉の皮付が比較的高値を示した。7)予めハーブを使ってドライマリネしたささみをソテー、オーブン加熱、湿熱加熱した場合にタイム、オレガノ、マジョラム、セイジ、バジル、ヒソップ、ラベンダー、レモングラス、アップルミント、ウインターサボリー、レモンバームなど11種のハーブが鶏肉の不快臭のマスキング効果を示した。
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