五島牛肉の食味性について(第3報) : 脂質の特徴
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概要
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前報で五島牛肉の脂肪含量は味、匂い、総合に1%の水準でやわらかさや弾力性に5%の水準で官能特性と高い正の相関があったので、今回は脂質性状を調べ、フローズンや県内産和牛肉のそれと比較検討した。また肉脂肪の摂取による疾病予防上、飽和と不飽和脂肪酸の比やコレステロールについても調べた。1)五島牛肉の脂質性状は脂質含量が他の試料より多く、皮下脂肪では63.42%、赤肉では8.84%であった。脂肪酸含量は皮下脂肪、赤肉ともMUFA,SFA,PUFA,PUFA>18:2の順であった。赤肉においては脂肪含量、MUFAやSFAの含量が他の試料より約3倍前後多く含まれていた。コレステロールは皮下脂肪には91.96mg%、赤肉には63.87mg%で霜降肉は脂質含量が多いにも拘らずコレステロールが少いことが確認された。飽和と不飽和脂肪酸の比は、皮下脂肪では1:1.8、赤肉では1:1.3であった。2)五島牛肉の主要脂肪酸は皮脂では18:1>16:0>16:1>18:0で、筋脂では18:1>16:0>18:0>16:1で、これらの脂肪酸が全脂肪酸組成の88〜90%を占めていた。筋脂ではオレイン酸とリノール酸組成が48.6%、パルミチン酸とステアリン酸組成が39.3%で他の試料に比べて融点がやや高いことが推察され、このことは物性の中の弾力性が高いことと一致していた。3)試料内部位間ではS2は18:2、S3は14:1、17:1、18:2、18:1の各脂肪酸に有意差があり、部位内試料間は皮脂ではS2とS3間において16:1、18:0に、筋脂ではS1とS2間のみ18:2の各脂肪酸に有意差が認められた。4)五島牛肉の調理法による脂質の損失は、ビーフステーキでは5.5%、焼き肉では22.2%、しゃぶしゃぶでは13.8%であった。5)抽出脂質を105℃で1時間加熱したが、脂肪酸組成の変化は各試料ともみられなかった。
- 活水女子大学の論文
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