五島牛肉の食味性について(第2報) : 加熱抽出液の特徴および官能特性と理化学的特性の関係
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概要
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第一報では五島牛肉の加熱肉としての食味性について報告したが、本報ではその結果を重回帰分析して官能特性と理化学的特性の相関や寄与率を調べた。また日本人の食肉の賞味形態としては肉から溶出するだしで他の食品を調味することも多いので、加熱抽出液について、その性状やエキス分の内容を調べ、味との関連性を検討した。1)加熱肉の官能特性と粗脂肪、針入度、弾性率、強靱性や色相などとの間に高い相関が認められた。2)重回帰分析で加熱肉の官能特性9項目中7項目が理化学的特性に対する回帰が1%水準で、残り2項目が5%水準であった。3)五島牛肉を3倍量の水で2時間加熱した抽出液は味が濃く、香りがよく旨味があり、味がまろやかであった。4)五島牛肉抽出液は酸度が低く、透過率は高く、色はわずかに緑がかった淡黄色であった。全エキス分、有機エキス分、全窒素、蛋白態窒素、アミノ態窒素はフローズン抽出液より僅かに少なく、県内産和牛肉抽出液より僅かに多かった。5)加熱抽出液の官能特性と理化学的特性との間にはb値のみに5%水準で優位性が認められ、三変数の理化学的特性を同時に用いても、食味性を推測するほどの精度は得られなかった。6)遊離アミノ酸、有機酸や核酸関連化合物などを高速液体クロマトグラフィで定量した結果は五島牛肉抽出液にはヒスチジン、リジン、アスパラギン酸が多く、有機酸ではコハク酸を含み、乳酸は少なく、また5-'IMPもかなり含んでいた。
- 1988-11-20
著者
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