片口鰯の成長過程における煮干し出し成分の比較
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概要
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長崎県の特産である片口鰯の煮干しは年2回の周期で,かえり,小羽,中羽,大羽の4種類が生産されている。煮干し出し汁に関する研究は数多くあるが,材料の成長過程における報告はあまりない。そこで本研究は片口鰯の成長過程における4種類の煮干し出し成分の比較検討を行った。試料は水の3%の材料を30分間水浸後,3分間沸騰加熱した。測定は官能検査と理化学性質について行った。1) 4種類の試料の官能検査の結果は総合評価において,かえりが最も高く,小羽,中羽,大羽の順であった。その理由として,かえりは生臭味はあるが旨味が強くて好まれ,大羽は生臭味は少ないが旨味が弱いので好まれなかった。小羽と中羽はその中間であった。成長過程で形状の小さいかえりや小羽は3分間加熱で出し成分が十分溶出されたが,形状の大きい中羽や大羽に対しては加熱時間が十分ではなかったと思われたので,今後,加熱時間について検討したいと思う。2) 成長過程における4種類の煮干し出し汁の理化学的性質を測定した結果,呈味成分であるエキス分,たんぱく態窒素やアミノ態窒素,5'-IMP,5'-AMPなどはかえり,小羽,中羽,大羽の順に多く溶出されていた。これは官能検査の結果と一致していた。3) 煮干し出し汁の官能特性と理化学的特性との相関を調べた結果,官能特性の総合評価は旨味との間に極めて高い正の相関が認められ,5'-AMP>全エキス分>無機エキス分>有機エキス分>たんぱく態窒素>全窒素の順に極めて高い正の相関が認められた。なお本研究の要旨は日本家政学会第41回九州支部大会において発表した。
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