スープストックの官能特性と理化学的特性の関係
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概要
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前報の五島牛肉の加熱抽出液の官能特性と理化学的特性との間に高い相関が認められなかったので、確認のため鶏骨入りスープストックと牛肉スープストックについて、その関係を調べてみた。また味に関係があるといわれる緩衝能についても検討してみた。1)煮物やソース用だし汁のフォンドヴォライユは、鶏骨150g2時間抽出したものと、鶏骨100g3時間抽出したものとおいしさは同じであるが後者は香りが僅かに劣った。コンソメ用の鶏骨と牛挽だし汁は鶏骨単独のものと全エキス分が同量の場合には、味が濃く旨味や香りがすぐれておいしい評価を得た。またフローズンより和牛挽肉を用いたコンソメ用だし汁が好まれた。2)牛肉スープストックでは、塊肉抽出液は挽肉抽出液より味が濃く旨味や香りがすぐれておいしい評価を得た。フローズンと和牛肉の差はなかった。3)鶏骨入りスープストック群では、味の濃さ、旨味、香り、総合のいずれにも酸度は正の相関が、b値、全窒素、たん白態窒素は負の相関が認められた。コンソメのだし汁がフォンドヴォライユよりおいしいという評価は酸度が高く、b値、全窒素、たん白態窒素が少量であったことで説明された。重回帰分析から鶏骨入りスープストックの食味性はb値、無機エキス分、全エキス分、酸度の測定値で全変量の大部分が推定されることがわかった。また得られた推定式はいずれも有意(P<0.01〜0.05)な回帰性が得られた。4)牛肉スープストック群では、味の濃さ、旨味、香り、総合のいずれにも全エキス分、無機エキス分、全窒素、アミノ態窒素、アミノ態以外の非たん白態窒素、酸度に正の相関が、a値に負の相関が認められた。塊肉抽出液が挽肉抽出液よりおいしいという評価は、全エキス分、無機エキス分、全窒素、アミノ態窒素、アミノ態以外の非たん白態窒素が多く、a値が低値であったことで説明された。重回帰分析から牛肉スープストックの食味性は、無機エキス分、たん白態窒素、アミノ態以外の非たん白態窒素、pHの測定値で全変量の大部分が推定されることがわかった。また得られた推定式はいずれも有意(P<0.01)な回帰性が得られた。5)各スープストックの緩衝能をpHの移動値で測定した結果、鶏骨入りスープストックではコンソメ用だし汁が牛肉スープストックでは塊肉抽出液が緩衝能が強く、味の濃さやおいしさと同じ傾向を示した。
- 活水女子大学の論文
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