遠赤外線放射石盤の利用法による食味
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概要
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最近、遠赤外線の利用が多いがその遠赤外線加熱法は他の加熱法と比較するとどの位の効果があるか、また食味との関係も明らかでない。本報は長崎の多良岳山麓より産出された多孔質の玄武岩を素材とした料理盤が開発され、その遠赤外線の働きでおいしい焼き物ができることをきいたので、その石盤を使って遠赤外線による加熱法と他の加熱法とによる食味の相違を検討した。1)石盤の放射特性は2〜30μmの波長間の放射率が測定温度500℃においては92.4%、200℃においては94.6%であり、効率の良い遠赤外線放射体であった。2)石盤加熱とホットプレート加熱による食味の比較では、石盤加熱した長崎牛肉のステーキや焼き肉・〓はおいしく、フローズンのステーキや焼き肉・ホットケーキ・さつまいも・南瓜は水気が少ない理由でおいしくないという評価を得た。加熱後の試料の水分含量は官能検査の水気の評価と一致していた。3)赤外線吸収スペクトルは長崎牛肉・フローズン・〓・さんまは3μm近傍と6〜9μmに吸収領域をもち、ホットケーキ・さつまいも・南瓜は3μm近傍と6〜15μmの全領域にわたって吸収をもっていた。これにより、石盤のもつ4〜9μmの強力な遠赤外線は試料に殆ど吸収されると考えられる。4)ロースターに石盤を使用して加熱すると従来のロースター加熱法よりホットケーキは水気がありおいしく、ビーフステーキや〓の焼物もおいしい製品が得られた。5)遠赤外線加熱と石盤加熱による食味の比較は官能的には有意差がなく、遠赤外線加熱したビーフステーキの物性値である針入度のみ有意差があり肉質が軟らかいことと一致した。その他は両加熱間の試料の性状特性には有意差がなかった。ガス消費量が石盤加熱は遠赤外線加熱の42%であることから、この石盤の利用法は石盤加熱法が適切な使い方と思われる。6)遠赤外線加熱と近赤外線加熱による食味の比較では、ビーフステーキ・〓とも官能的に有意差がなかった。
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