ある自閉症児の他者とのかかわりにおける困難の要因に関する検討 : 自身の振る舞いに関する発言に焦点を当てて
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概要
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従来、自閉症における社会性の障害の要因については、他者の心的状態を理解することの困難から検討が行われてきた。近年、自閉症における"自己"の特異性と社会性の障害との結びつきが示唆されてきている。本稿では、ある自閉症男児の実生活場面における自身に関する発言を行った場面について分析を行った。その結果、対象児は自身に関する発言を行った場面において、事実とは一致しない発言を行う、発言に窮する、などの困難を示していた。また、そのような場面において、対象児は他者の心情を不快にするような発言を行うことがあった。このような対象児の様相から、他者とのやりとりにおける困難の要因として、自己の振る舞いを認識することの困難が想定された。今後、対象児に見られた自己の振る舞いを認識することの困難が、他の自閉症児・者にも同様に存在し得るのかについて検討を行う必要性が示唆された。
- 東北文化学園大学の論文
著者
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郷右近 歩
三重大学教育学部
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平野 幹雄
東北文化学園大学
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野口 和人
宮城教育大学
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野口 和人
宮城教育大学特別支援教育総合研究センター
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鈴木 徹
宮城教育大学大学院教育学研究科
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平野 幹雄
宮城教育大学特別支援教育総合研究センター
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郷右近 歩
三重大学
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