精神遅滞児の標的検出過程における心理生理学的特性 : 長潜時陽性電位P3によるその発達的検討
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概要
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長潜時陽性電位P3は、弁別的情報処理など高次脳機能系の活動を反映する内因性の認知成分として知られている。本研究では精神遅滞児のP3を暦年齢(CA)、精神年齢(MA)の両年齢軸で健常児のP3の発達過程と比較検討することにより、遅滞児のP3の発達的特徴を明らかにすることを目的とした。被験者は健常群については6〜14歳児32名と成人3名、遅滞群はCA12〜15歳、IQ50〜79の軽度遅滞児11名である。これらの被験者に対し継次的に呈示される正立・倒立の2つの正三角形の弁別課題を実施した。その結果、運動反応を伴う低確率(30%)の刺激(倒立正三角形:target)に対し著明なP3が出現し、その潜時は14歳頃まで短縮傾向を示した。この短縮過程は反応時間と高い相関関係にあった。遅滞群のP3潜時は同一CAの健常児に比して著しく遅延していたが、MA軸で比較すると差はほとんどなかった。遅滞児の中にはそのMA水準からみてP3の潜時・振幅が著しく逸脱しているものが存在した。
- 日本特殊教育学会の論文
- 1987-03-30
著者
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