南九州における寒地型牧草の定着と牧草生産に及ぼす斜面方位の影響

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南九州の中標高地帯における寒地型牧草の定着と牧草生産に及ぼす斜面方位の影響を検討した。実験地は宮崎県都城市の標高約400mに位置する傾斜約25〜30度の北および南向斜面である。1979年9月11日にペレニアルライグラス(Lolium perenne L.),トールフェスク(Festuca arundinacea Schreb),ケンタッキーブルーグラス(Poa pratensis L.),レッドトップ(Agrostis alba L.)およびシロクローバ(Trifolium repens L.)を混播した。播種牧草の出芽および幼植物の生長を調査するとともに,1980年および1981年の牧草生産量を調べた。また,日射量,地下5cmの日中地温,土層2〜7cmの土壌水分を測定した。結果は次のとおりである。1)播種5週間後に調査したイネ科牧草およびシロクローバの単位面積当たり幼植物個体数は,南向斜面が著しく少なかった。また南向斜面では,牧草幼植物の生長が不良であった。2)牧草収量は,1980年および1981年ともに南向斜面が北向斜面に比べて有意に少なかった。3)南向斜面は北向斜面に比べると,早期にイネ科牧草,特にペレニアルライグラスが衰退し,雑草が侵入した。4)南向斜面では,夏〜初秋の高日射に伴う高地温と低土壌水分が,寒地型牧草の定着を抑制するとともに,牧草の衰退をまねく一因と推定された。
日本草地学会の論文
1985-02-25

南九州における寒地型牧草の定着と牧草生産に及ぼす斜面方位の影響

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