施肥窒素に対する牧草の反応に関する研究 : I.数種暖地型牧草の施肥窒素に対する反応の差異について

概要

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草地における草種間競合をコントロールする一手段として,窒素施肥があげられる。本実験は,草種間競合に及ぼす窒素施肥の影響を明らかにする一段階として,施肥窒素に対する草種間の反応差を検討したものである。ローズグラス,ダリスグラスおよびバヒアグラスの3草種を用いてポット試験を実施した。播種3週間後に窒素追肥処理を行ない,追肥4週間後に植物体を採取した。追肥量は,0,0.25,0.50,1.00,2.00g-N/ポットの5段階とした。試験期間中の平均日最高および最低気温はそれぞれ,35.8℃と20.7℃であった。結果の大要は以下の通りである。1.窒素増施に伴う乾物重増加は,ローズグラスが最も著しく,次いでダリスグラス,バピアグラスの順となった。また,乾物重増加が平衡に達する窒素施用水準についても,ローズグラスが最も高く,次いでダリスグラス,バヒアグラスの順となった。上記の傾向が,茎数の増減に強くあらわれた。2.ローズグラスの窒素吸収量は,本実験での窒素施用量の範囲内において,窒素増施とともにほぼ直線的に増大し,窒素利用率は,84.2%〜72.6%の範囲内にあった。一方,ダリスグラスとバヒアグラスの窒素吸収は,窒素増施に伴わず,特に,バヒアグラスの多肥区における窒素吸収量は,他の2草種に比し著しく少なかった。従って,窒素利用率は,多肥とともにダリスグラスが87.0%から44.6%へ,バヒアグラスが71.0%から17.3%へと,それぞれ低下した。3.吸収した窒素量当りの乾物重(W/N)は,いずれの草種についても,窒素施肥量の増大とともに低下し,なかでも,バヒアグラスの低下傾向が著しかった。同一施肥量におけるW/N値は,ローズグラスが最も高かった。草種および窒素施肥量の変化に伴うW/Nの差異は,窒素多肥に伴う植物体の増大効率,ひいては草地における生産および草種間競合に重大な影響を及ぼすものと考えられる。従って,この値に影響を及ぼす諸要因については,さらに広く深く追求する必要があると思われる。
日本草地学会の論文
1975-10-25

施肥窒素に対する牧草の反応に関する研究 : I.数種暖地型牧草の施肥窒素に対する反応の差異について

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