浸潤性膀胱癌に対する骨盤内リンパ節郭清の検討
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
浸潤性膀胱癌の治療成績の改善を目指して昭和54年以降膀胱全摘除術に骨盤内リンパ節郭清を併せて施行した.根治的切除の可能であったのは80例(男性64例,女性16例,平均年齢63歳)であった.リンパ節は両側の総腸骨,外腸骨,内腸骨,閉鎖と正中仙骨前を郭清した.9例(11%)が転移陽性であった.最も転移の頻度が高かったのは総腸骨および外腸骨リンパ節であり,以下閉鎖,正中仙骨前,内腸骨の順であった.原発腫瘍の組織学的所見とリンパ節転移との関係を検討したところ,Grade,Stageが高くなるほど転移の陽性率が高くなり,その他に,INF-γ,ly2,v(+)の場合にそれぞれ高い陽性率を示した.転移陽性の9例中7例が3ヵ月から37ヵ月(平均17ヵ月)で癌死しており,2例はそれぞれ4ヵ月と41ヵ月生存中である.いまだ転移陽性例での長期生存を得ていないが,郭清施行例全体について検討すると,その生存率は,郭清施行以前の症例と比較して顕著な改善を認めており,リンパ節郭清は診断的だけでなく治療的な意義があると考えられた.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 1989-03-20
著者
-
井坂 茂夫
千葉大学医学部泌尿器科学教室
-
島崎 淳
千葉大学医学部泌尿器科学教室
-
松嵜 理
帝京大学市原病院病理部
-
岡野 達弥
千葉大学医学部泌尿器科学教室
-
佐藤 信夫
千葉大学医学部泌尿器科学教室
-
井坂 茂夫
千葉泌尿器腫瘍研究会
-
松崎 理
帝京大市原病理
-
佐藤 信夫
船橋市立医療センター
-
島崎 淳
千葉大学医学部泌尿器科
-
井坂 茂夫
千葉大学医学部泌尿器科
関連論文
- 表在性膀胱腫瘍に対する Adriamycin 再発予防膀胱腔内注入療法第4次研究(術前注入療法の再発予防効果)結果報告
- 10. ロダン塩による腎障碍(第34回千葉医学会総会講演要旨)
- 神経因性膀胱に対するウラピジルの効果 : プラセボ、30mg, 60mg投与による二重盲験試験
- ガンマーセミノプロテイン〔γ-Seminoprotein (γ-Sm)〕血清中濃度測定の前立腺癌診断への応用
- 尿路結石症における尿細胞診
- 腎盂尿管腫瘍の細胞診診断
- 前立腺癌の治療効果判定基準
- 前立腺癌内分泌療法の組織学的治療効果
- 前立腺癌に対する重粒子線 (炭素イオン線) 治療(第93回日本泌尿器科学会総会)
- 21-OH-lase部分欠損を伴ったと考えられた巨大副腎腺腫によるCushing症候群の1例