北海道中央部における森林とオープンランドの蝶類群集の比較にもとづく蝶類各種の生息環境分類
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概要
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従来の定性的な知見にもとづく蝶類の生息環境分類の妥当性を検証するために,北海道中央部において,森林(落葉広葉樹林とカラマツ人工林)とオープンランド(水田や畑等)にそれぞれ9カ所の調査地点を設定し,蝶類のトランセクト・カウントを行った。全調査地点で57種の蝶が出現した。種構成は森林とオープンランドで大きく異なり,30種は森林だけに出現したのに対して,4種はオープンランドだけに出現した。各種の個体数を森林とオープンランドで比較した結果,38種が森林性,9種がオープンランド性に分類され,どちらにも分類されない種は10種にすぎなかった。以上の分類結果を,従来の森林性・草原性の区分と比較した結果,両者の分類はほとんどの種で一致していた。この結果は,従来の分類の妥当性を示している。蝶頬においては,これらの生息環境分類を用いることで,持続可能な森林管理の指標である「森林に依存する種の数」を測定できると考えられる。
- 日本森林学会の論文
- 2004-08-16
著者
-
佐山 勝彦
森林総合研究所北海道支所
-
尾崎 研一
森林総合研究所北海道支所
-
尾崎 研一
森林総合研究所北海道支所:(現)森林総合研究所森林昆虫研究領域
-
福山 研二
(独)森林総合研究所
-
伊藤 哲也
北大 大学院理学研究科
-
下村 通誉
北九州市立自然史・歴史博物館
-
尾崎 研一
(独)森林総合研究所北海道支所
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佐山 勝彦
(独)森林総合研究所北海道支所
-
加藤 哲哉
(独)京都大学フィールド科学教育研究センター瀬戸臨海実験所
-
伊藤 哲也
(独)北海道大学大学院理学研究科
-
吉田 尚生
国際昆虫生理生態学センター
-
加藤 哲哉
京都大学フィールド科学教育研究センター瀬戸臨海実験所:京都大学白浜水族館
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