正常ビーグルおよび精子無力症ビーグルの精漿中スーパーオキサイド・ディスムターゼおよびカタラーゼ活性値(臨床繁殖学)

概要

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正常な精液性状をもつピーグル5頭(2-5歳)および精子無力症のピーグル5頭(3-5歳)における末梢血中テストステロン(T)値および精漿中の抗酸化酵素スーパーオキサイド・ディスムターゼ(SOD)およびカタラーゼ活性値を測定した.また,精子無力症犬の射精精子を,100 unit/ml SOD添加あるいは100 unit/mlカタラーゼ添加Eagle's MEMおよびコントロールMEM中で3時間培養し,精子活力の変化を調べた.精子無力症犬の末梢血中T値(ng/ml)は,平均1.2±0.2(SE)であり,正常犬のその値(2.5±0.2)より有意に低値であった(P<0,005).また,精子無力症犬の精漿中SODおよびカタラーゼ活性値(unit/g protein)は,それぞれ平均18.8±1.9および0.5±0.1であり,正常犬のそれらの値(それぞれ43.3±2.5,2.2±0.4)より有意に低かった(それぞれP<0.001,0.01).SODあるいはカタラーゼ添加MEM中の精子活力は,培養開始後2および3時間で,コントロールMEM中のその値に比較し,有意に高値を示した(P<0.05).本実験成績から,精巣のT分泌不足および精漿中の抗酸化酵素活性値の低下が,犬の精子無力症の原因となる可能性が示唆された.
社団法人日本獣医学会の論文
2007-02-25