犬凍結融解後の性状における液体窒素への感作条件の影響(臨床繁殖学)

概要

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犬凍結精液作製時において,液体窒素蒸気に感作させる時間と高さに注目して,投げ込み法による凍結条件を検討し,我々が報告してきた従来の簡易凍結器法と犬凍結精液の融解後の精液性状を比較検討した.投げ込み法は,同じ条件のものを9本作製し,発泡スチロール中の液体窒素液面から5cm,7cm,10cmに,それぞれ5,10,15分間ストローを水平に保持し,その後液体窒素に投げ入れることで行った.その結果,融解直後の精液性状は,7cm・10分群(冷却率:-4〜22℃/分)または10cm・15分群(冷却率:-6〜-10℃/分)が高値を示した.また,7cm・10分の投げ込み法で作製した凍結精液を従来の簡易凍結器法と比較したところ,精子活力および精子生存率は投げ込み法が有意に高値を示した.凍結における冷却率は,簡易凍結器(冷却率:-6〜50.9℃/分)では投げ込み法より急速であった.以上の結果から,犬凍結精液を作製する場合,-10℃前後/分の緩慢な冷却率になるように液体窒素上にストローを水平に設置し10〜15分間感作後に液体窒素に投げ込み凍結することで,良好な精液性状を得ることができることが明らかとなった.
社団法人日本獣医学会の論文
2006-10-25