猫の凍結精液による片側子宮角内授精

概要

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猫の凍結精液について, 卵黄トリス・フルクトース・クエン酸液(EYT-FC), および卵黄クエン酸液(EYC)の2種で作製し, 融解後の精液性状および片側子宮角内授精における受胎率について検討した.実験に用いた猫は, 2〜12歳の雄6頭および雌11頭(実験例数は17例)である.凍結精液は, 人工膣法によって採取した精液について, 精子濃度1×10^8/ml, グリセリン7%で, 250μlストローを用いて, Cell Freezer で作製した.その結果, 凍結融解後の精子活力は, EYT-FCおよびEYCで, それぞれ平均30.0±9.7(SE)%, 30.0±3.3%と, 両者で差が認められなかった.片側子宮角内授精は, ストロー2本を用いた結果, 受胎率は両希釈液とも7頭中4頭, 57.1%であった.また, 授精側排卵数に対する産子数は, EYT-FCおよびEYCがそれぞれ平均61.1±24.5%, 30.5±3.4%で, EYT-FCが高い傾向にあった.以上のことから, 猫の凍結精液について2種の希釈液で比較すると, EYT-FCがやや上回った.今後, 受胎および受精率を上昇させるためには, 授精精子数の増加および両子宮角内への授精が重要と思われた.
社団法人日本獣医学会の論文
2000-12-25