子宮摘出または手術での子宮潅流によって回収した各種発育段階の胚を用いた犬の胚移植

概要

論文の詳細を見る
犬では胚移植(ET)の基礎となる過排卵の誘起,発情の同期化などの技術が進展していない.そこで,血中progesterone値から推定した排卵日の近いビーグル犬を用いて,各種発育ステージの胚を移植して受胎の可能性について検討した.胚の回収は,排卵後8〜11日(交配4〜9日)に,16頭では卵管・子宮を摘出して(摘出法),3頭では手術によって子宮を潅流する方法(手術法)で行った.胚の回収率は,摘出法では平均97.1%,手術法では平均42.5%で,両者に有意差が認められた(P<0.01).Recipientの排卵日を基準に,donorとの排卵日の日差が-4日から+2日までの24頭に,1〜10個の8-cellからblastocystを片側子宮角に移植した.その結果,排卵の日差が-1〜+2では21頭中12頭,57.1%が受胎した.受胎した胚は,8-cell-blastocystであった.移植胚に対する産子数の割合は,平均51.9%と低率であった.Recipientの排卵から分娩までの日数は,平均65.8日で自然交配に比較して長い傾向にあった.以上のように,犬では8-cell〜blastocystの胚を排卵日の日差が-1〜+2日のrecipientに移植して産子へ発生することが明らかとなった.
社団法人日本獣医学会の論文
2001-04-25