ビーグル犬の精巣上体精子の凍結精液による人工授精

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精巣上体精子を凍結保存することは,稀少動物を始めとする種の生殖子を残す技術として重要である。犬の精巣上体尾部から回収した精子の凍結保存を行い,その精液を使用して受精能を検討した。その結果,実験犬17頭における精巣上体尾部の精液性状は,精子活力は平均89.4±1.6(SE)%,精子生存率は89.1±1.1%で,頭体部に比較して明らかに高値を示した(P<0.01,P<0.05)。回収精子数は6.3〜122.3×10^7と個体で幅が見られ,平均61.5±10.0×10^7であった。凍結保存には,精巣上体尾部から回収された精子だけを使用した。その凍結融解後の精子活力は19.5±2.3%,精子生存率は53.1±3.3%であった。これは,射出精子の凍結融解後のものと比較すると,若干低かったが両者の間には有意差は見られなかった。精子数2,3,4億を片側子宮内に授精した結果,3億を注入した1頭のみの妊娠であった(1/16,6.3%)。また,精子数1億を両側卵管内にそれぞれ授精した結果,6頭中1頭(16.7%)の妊娠であった。このようにビーグル犬の凍結した精巣上体精子は,融解後の性状は射出精子とほぼ同様であったにも関わらず,受胎率は低率であることが明らかとなった。今後はこれら両者の凍結融解後のダメージの違いを検討するとともに,受胎率を向上させる方法の開発が必要であると思われる。
社団法人日本獣医学会の論文
2004-01-25

ビーグル犬の精巣上体精子の凍結精液による人工授精

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