犬の精子運動性への卵丘細胞層の影響

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犬の精子の運動性に対する卵丘細胞層(CO)の影響を調べる目的で,雄ビーグル8頭の射精精子および発情期の雌ビーグル3頭から回収した卵胞卵子のCOを共培養し,COへの精子の侵入を観察した.また,ホモジェネートCO添加培養液中におけるhyperactivationを示す精子の割合(%HA)およびacrosome reactionが誘起された生存精子の割合(%AR)を調べた.さらに,培養したCOのヒアルロン酸含有量の測定およびヒアルロン酸添加培養液中の精子のHAおよびARの観察を行った.培養後7時間の精子における%HA(平均33.0%)およびその後0.5時間COと共培養したときのCOへの侵入精子数(3.0)は,培養後0.5時間におけるそれらの平均値と比較して有意に増加した(P<0.01).COへの侵入精子のほとんどは,活発なHA運動を示すacrosome-intact精子であった.ホモジェネートCO添加培養液中で2時間培養した精子の活力(77.3%)および%HA(23.6%)は,コントロール値と比較して有意に高値であった(P<0.01).しかし,%ARに関しては,差は認められなかった.また,培養後24時間におけるCOのヒアルロン酸含有量は,培養前の値よりも増加した.ヒアルロン酸添加培養液中の%HAは,培養開始後2および4時間で,コントロール値と比較して有意に高値を示した(P<0.01).本実験成績から,犬ではHA運動を示すacrosome-intact精子がCO内へ侵入し,COで産生されたヒアルロン酸の作用により,精子の活発なHA運動性が維持されて,精子はCOを通過できるようになることが示唆された.
社団法人日本獣医学会の論文

犬の精子運動性への卵丘細胞層の影響

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