犬の射精精子のin vitroでの受精能獲得におけるCa^<2+>の流入, 乳酸脱水素酵素活性およびcyclic AMP合成におよぼすヒアルロン酸の影響(臨床繁殖学)

概要

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犬の射精精子の受精能獲得に伴う精子内へのCa流入, 乳酸脱水素酵素(LDH)活性およびcyclic AMP(cAMP)合成に対する, 卵丘細胞間物質の主成分であるヒアルロン酸の影響について調べた.ビーグル犬10頭の射精精子を10μg/mlヒアルロン酸添加Eagle's MEMおよび無添加MEM中で4時間培養し, 活力ある精子の割合(%), hyperactivationを示した精子の割合(%HA-sperm)およびacrosome reactionを起こした精子の割合(%AR-sperm)を比較した.さらに, Ca^<2+>蛍光染色法によりCa^<2+>流入精子の割合(%Ca^<2+>-labeled sperm)を調べ, 精子のホモジェネート液中のLDH活性値およびcAMP濃度を測定した.その結果, ヒアルロン酸添加MEM中の精子活力および%HA-spermの平均値は, 無添加群と比較して有意に高値であった(それぞれP<0.05および0.01).しかし, %AR-spermについては, 有意差は認められなかった.LDH活性値およびcAMP濃度は, 無添加群より有意に高かった(いずれもP<0.05).また, %HA-spermと%Ca^<2+>-labeled spermの間に正の相関関係が認められた(r^2=0.810).これらの成績から, ヒアルロン酸は, 犬精子の受精能獲得時における精子内へのCa^<2+>流入, LDH活性およびcAMP合成を促進することが示唆された.
社団法人日本獣医学会の論文
2006-02-25