スイゼンジナを加害する害虫の生態学的研究 : 2.鹿児島県内における害虫相と主要種の発生および被害の消長(I)
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概要
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これまで, 鹿児島県におけるスイゼンジナの害虫は5目13科17種が確認されていた.今回は調査地および栽培面積を拡大し, 鹿児島県内の12地点で害虫相の調査を行った.その結果, 3綱7目23科39種の加害が認められた.その内訳は, 昆虫綱では直翅目が3科4種, 半翅目が9科12種, 鞘翅目が1科2種, 双翅目が1科1種, 鱗翅目が6科17種で, 線虫綱は, ハリセンチュウ目が1科1種, そして腹足綱では, 柄眼目が2科2種であった.これら39種のうちオンブバッタ, ヨモギハアブラムシ, ウスモンミドリメクラガメ, クロトビメクラガメ, モンシロモドキ, オオホシミミヨトウ, ハスモンヨトウおよびキクギンウワバの8種については鹿児島大学構内のスイゼンジナ圃場で発生および被害の消長を調査した.その結果, オンブバッタは7月下旬に発生個体が最も多く, 1m^2当たり3.0頭であった.被害最盛期は7月中旬, 8月上旬および10月下旬で被害程度はいずれも26であった.ヨモギハアブラムシは5月上旬に最も高い寄生率を示し, 50茎当たり80%であった.ウスモンミドリメクラガメは11月下旬にピークに達し, その時の個体数は1m^2当たり3.0頭であった.クロトビメクラガメは8月下旬に最も多くの個体が認められ, 1m^2当たり0.6頭であった.被害最盛期は9月上旬で, 被害程度は35であった.モンシロモドキは卵塊が9月下旬, 幼虫が11月下旬, 成虫が8月上旬にピークに達しており, それぞれ1a当たり14卵塊, 1茎当たり0.6頭, 1a当たり27頭であった.また, 被害最盛期は8月下旬でその時の被害程度は45.5であった.オオホシミミヨトウは9月上旬から急に発生し始め, 11月中旬にピークに達し, 1茎当たりの幼虫数は0.6頭であった.また, 被害最盛期は12月下旬で被害程度は46.5であった.ハスモンヨトウについては卵塊数と幼虫数を調査した.ピークは前者が10月上旬で1a当たり58卵塊, 後者が10月下旬で1茎当たり4.4頭であった.なお被害程度は9月下旬が最も高く99.5で, スイゼンジナに甚大な被害を与えた.そして, キクギンウワバは9月下旬に最も多くの幼虫が認められたが被害最盛期は7月上旬で被害程度19であった.
- 鹿児島大学の論文
- 2000-03-01
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