伐採行動の指標化に関する研究 : 岐阜県の森林計画区別・市町村別伐採動向と地利条件
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概要
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岐阜県における1986年度から1990年度までの5年間の伐採のうち, スギおよびヒノキについて地利条件との関連を検討した.用いた資料は伐採届を市町村別に集計した「伐採実績集計表-1」である.集計の対象となる伐採材積はスギが47.1万m^3,ヒノキが46.7万m^3である.伐採材積と地利条件を森林計画区別・市町村別に集計した結果, 以下のことがわかった.1.1986年度から1990年度について, 伐採地の林道からの平均距離を求めると, スギが294m, ヒノキが260mである.森林計画区別にみると, スギ, ヒノキともに飛騨川, 長良川, 揖斐川, 宮庄川, 木曽川森林計画区の順に短くなっている.最短の木曽川森林計画区ではスギが164m, ヒノキが176mである.2.伐採地の林道からの平均距離は1986年度から1990年度にかけて短縮化している.森林計画区別にみると, スギの場合は揖斐川と飛騨川森林計画区において, ヒノキの場合は揖斐川森林計画区において特に短くなった。3.樹種別市町村別伐採量をみると, スギ伐採量については美山町, 根尾村, 板取村, 八幡町において, ヒノキ伐採量については白川町, 下呂町においてそれぞれ県合計伐採量の5%以上のシェアを持つ.スギ, ヒノキともに1町村の伐採量が1森林計画区の伐採量を超える場合がある.4.伐採地の林道からの平均距離を市町村別に検討すると, 1986年度には大きな差がある.1986年度から1990年度にかけて, 多くの市町村で平均距離が低下し, 1990年度になると, スギ, ヒノキともに, 伐採地と林道との平均距離が250m以内という市町村が多くなった.5.森林計画区別にみた伐採比率は資源量構成比によりかなり説明される可能性が高く, 林道条件は資源量ほどの説明力を持っていない.林道があれば計算上は伐採可能になるが, 必ずしも実際の供給につながっていない.6.地域森林計画の伐採見通しの作成の際には, 林道等の地利条件については計画区内を一律に扱わず幾つかの区分を設けることが望ましい.また, 伐採地と林道の関係は年々変化しており, 継続的な調査体系の確立が必要である.
- 鹿児島大学の論文
- 1995-03-31
著者
-
藤原 三夫
愛媛大学農学部
-
松下 幸司
京都大学
-
松下 幸司
森林資源学
-
藤原 三夫
岐阜大学農学部附属演習林位山演習林
-
岩田 浩和
岐阜大学農学部森林・緑地管理学研究室
-
藤原 三夫
岐阜大学演習林
-
藤原 三夫
岐阜大学農学部
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