伐採動向と木材供給予測方法に関する研究 : 熊本県小国町の近年の動向
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
小国町において1986〜1990年の伐採届を集計した結果, 以下のことが分かった.1.1989年以降, 主伐材積が減少する一方, 間伐材積が着実に拡大している.その結果, 1988年以降, 間伐材積のほうが主伐材積より多い状態になっている.2.主伐, 間伐ともにその平均規模は概ね0.5haである.件数的には0.1〜0.2haのものが多い.この傾向は分析期間中, 大きな変化はない.3.主伐面積のピークはVII齢級, X齢級, XII齢級と複数箇所に見られた.間伐の場合はV齢級である.伐採齢の総平均は主伐, 間伐とも期間中大きな変化は見られなかった.4.間伐の範囲は, 保育目的の若齢級間伐から収入目的の高齢級間伐まで幅広く観察された.従って, 齢級別主間伐合計材積を計算すると, V齢級からXIV齢級までほぼ等量生産されている.5.資源現況に対する伐採率を計算すると, 主伐のピークはXIV齢級に見られた.しかし, 間伐の場合はIV齢級からXVI齢級にかけて台地状に分布し, ピークを見いだすことができなかった.6.減反率を計算した結果, 主伐のピークはIX齢級, 間伐のピークはVからVI齢級であった.これは現実の伐採活動と必ずしも一致していない.以上の分析の結果, 減反率法について以下の問題点を指摘することができた.1.主伐の長期化・多様化は, 必ずしも分布関数の右シフト, 分散拡大とはならない可能性がある.2.若齢林分での間伐は本方法で推計可能だが, 高齢林分での間伐は内容が多様であり評価が難しい.3.地域の実情に応じた木材供給予想方法の開発とそれに対応したデータ収集を行う必要がある.
- 鹿児島大学の論文
- 1992-03-30
著者
-
松下 幸司
京都大学
-
松下 幸司
森林資源学
-
枚田 邦宏
京都大学農学部芦生演習林
-
藤掛 一郎
京都大学農学部
-
小野 理
京都大学農学部
-
枚田 邦宏
森林管理学
-
松下 幸司
京都大学農学部
-
藤掛 一郎
京大 農 演習林
-
枚田 邦宏
京都大学農学部
関連論文
- 森林バイオマスエネルギー
- 森林応用研究
- 木造住宅の需要と供給に関する研究(III) : 鹿児島県下の消費者の意識
- 木造住宅の需要と供給に関する研究(II) : 鹿児島県の大工・工務店の現状と問題点
- 環境倫理 : 人とみどりの育ちあい(「みどりの環境教育」関東支部主催講演会報告)
- 木造住宅の需要と供給に関する研究(I) : 鹿児島県の木造公営住宅について
- 屋久杉ランドにおける森林レクリェーション(1) : 利用者の意向
- 伐採行動の指標化に関する研究 : 岐阜県の森林計画区別・市町村別伐採動向と地利条件
- 4.伐採行動の統計的研究 : 岐阜県における伐採齢の現状
- 森林情報システムに関する研究(II) : 九州の森林組合におけるコンピュータ導入の現状
- 南九州一般材の動向と可能性 (木材市場における国産材の動向と展望-1-)
- 林業におけるBSIの利用に関する研究(I) : 日本木材備蓄機構の「先行き構成比調査」について
- 伐採動向と木材供給予測方法に関する研究 : 熊本県小国町の近年の動向
- 森林情報システムに関する研究(I) : 情報の経済学的考察
- 木材価格の変動と為替レート(I) : 輸入物価の検討
- アメリカにおける木材価格の動向
- 合板関税に関する研究-2-保護貿易論の検討
- 合板関税に関する研究-1-関税の保護効果
- 学校体育の管理・運営に関する研究(第1報) : 体育的視点からみた高校生の生活行動について
- 屋久島における登山者の動向
- 屋久島における森林利用(I) : 屋久スギの管理と利用の変遷
- 広葉樹再生林を対象とした林分成長モデルFSDの決定手法
- コメント1 山村問題とは何か(II 1993年秋季大会 コメント)
- 都市近郊森林レクリエーション地域における来訪者の意識と行動
- 多摩ニュータウンにおける街区公園の利用実態と公園の評価に関する研究(平成12年度 日本造園学会研究発表論文集(18))
- 年輪 : 過去からの贈り物(年輪は語る)
- 小規模演習林における施業計画作成手法に関する研究(第1報) 森林情報管理システムの開発
- 関東地域の『森林科学』
- 東京農工大学大谷山演習林スギ樹幹解析資料
- 樹幹解析手法に関する検討--断面積の測定手法について
- 後発人工林地帯の森林組合経営の展開 : 兵庫県の森林組合を事例として(1987年度秋季大会自由論題論文)
- 後発人工林地帯の森林組合経営の展開 : 兵庫県の森林組合を事例として(自由論題報告要旨,1987年度秋季大会報告)
- レクリエ-ション林の利用規制の認識と行動に関する研究--マウントレ-ニア国立公園への日本人訪問客を対象としたケ-ススタディ
- 伐採齢分布を用いた森林所有者の伐採行動への接近(統一テーマ:転換期における林業経済研究の課題,1999年春季大会論文)
- 製材工場の生産性分析 : 国産材工場の経営戦略への接近
- 研究資料 小規模演習林における施業計画作成手法に関する研究(第2報)線形計画法を利用した長期計画の作成
- 北関東における広葉樹再生林の林分構造--後継稚樹を中心にした林床空間の分析
- 景観認識の分析をもとにした森林の保健休養機能評価法の開発
- 木曽ヒノキ複層林成長試験地にみる複層林化直後の林分構造と成長(木曽国有林-施業の多様化に向けて-)
- 第20回IUFRO世界大会に参加して
- 森林の総合評価法の開発
- 第36回森林計画学会シンポジウム「フォレスターとはなにか」(フォレスターとは何か)
- 合板関税に関する研究(1) : 関税の保護効果
- 地形成と販売戦略 : 「変貌する製材産地と製材業」(半田良一編)を読んで
- 5 都市住民の森林レクリエーション利用とその問題点(森林保全と地域社会(I))
- 55. 誰のための「林業技術」か(林業技術問題(XXVIII))