森林情報システムに関する研究(I) : 情報の経済学的考察
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概要
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近年, 森林・林業を巡って様々な情報システムに関する検討が始まった.しかし, あらゆる種類のデータが情報と呼ばれたり, すべて政府が供給する, あるいはすべきであるといった議論も見受けられる.情報には幾つかの種類があり, それぞれその経済学的含意は異なっており, 当然供給主体も変わってくることに注意しないと誤った資源配分を招く.森林・林業に関連して問題な点をあげると, 以下の通りである.1.議論はデータ情報に偏りがちであるが, 森林・林業に関してはサービス財的情報などデータ情報以外にも検討すべき情報がある.2.森林情報は純粋な公共財とはいい難く, すべてを政府が供給する必要はない.つまり, 費用の一部(または全部)を受益者に負担させるべきである.3.生産効率に関係なく, 単に所得配分にしか影響しないような市場情報は基本的には政府の仕事ではない.また, 市場情報は時には誤った情報による誤った資源配分の実現という問題点があり, 皆が同じ行動に走りやすい農林業分野での導入には一定の配慮が必要である.4.システムの適正な運用には何等かの価格システムの導入が不可欠である.補助金などの助成策に依存する傾向が強い森林・林業分野なだけに, 運用に当たってはこの点に留意すべきである.
- 鹿児島大学の論文
- 1991-03-15
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