林業新規就業者の類型と転出者の特性 : 愛媛県の第3セクター林業会社を対象にして

概要

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林業への新規就業が増加する一方,早期に,あるいは技術習得後に就業先の事業体から転出する従事者も少なからず見られる。転出要因の分析は,従事者本人はもとより,林業事業体の経営安定,ひいては雇用安定にとってもきわめて重要だが,研究事例は少ない。そこで,本研究では,愛媛県の第3セクター林業会社への新規就業者を対象に,労働移動形態と就業動機を要素として類型化を図るとともに,どのような類型において転出傾向が強いのかを検証し,またその要因について考察した。その結果,5類型を抽出し,なかでも職能追求を就業動機とするグループや職業への憧れを示すグループで転出傾向が強く現れ,その圧倒的部分をいわゆるIターン者が占めた。彼らの転出率は,地元出身者(Uターン者を含む)や新規学卒者に比べて2倍近くの高さである。しかし,転出先は林業事業体や仲間グループなど林業内での職場移動が半数で,雇用改善の促進や経営方針の明確化によって職場定着の可能性が高まることを示唆している。
林業経済学会の論文
2005-07-01