植物の分光反射率におよぼす桜島降灰の影響

概要

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農作物や森林におよぼす桜島の降灰の影響を調査するため, 2・3の樹木や野菜などの葉に火山灰を散布し, 分光反射率の変化を測定した.(1)火山灰の分光反射率は, 波長に対する変化は少なく, 波長が長くなると分光反射率はわずかに増加する傾向を示した.(2)樹木や野菜などの葉面の分光反射率は, 短波長側の可視領域では波長が長くなると急激に増加したが, 600〜700nmの波長帯では反射率は著しく減少した.また, 長波長側の近赤外領域では分光反射率は可視領域の約10倍となった.(3)灰を散布した樹木の葉面の分光反射率は, 灰を散布しない場合に比べ可視領域では増加したが, 近赤外領域では約半分に減少した.また, 600〜700nmの波長帯における分光反射率の減少はみられなかった.(4)植物におよぼす降灰の影響は, 植物の光合成の作用を阻害するもので, 植物固有の分光反射率の特性を著しく変化させた.(5)可視領域の475,625nmの波長の分光反射率と近赤外領域の850nmの分光反射率の比を求めることにより, 森林や農作物への降灰状況の解析に役立つことができる.
1980-03-19