日本近海の珍らしいイカ類について V. : 黒潮流域から採集された Ancistrocheirus lesueuri (D'ORBIGNY, 1839) の成熟雌について
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概要
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Ancistrocheirus lesueuriはホタルイカモドキ科の中で例外的に大型になるイカである。本種がD'ORBIGNY(1839)によって記載されて以後僅かにJOUBIN (1900)がアゾレス沖のマッコウクジラの胃中から発見した2(又は1)個体の破片を, HOYLE(1906)がインド洋フェリデュ環礁に死んで浮いていた標本について記述したのみで, その特徴もよく知られていない。今回東大海洋研究所の御好意により淡青丸が野島崎沖の黒潮流域の深さ850m-0mから採集した1標本を検し, その詳細を記載した。この標本は成熟雌で, 外套腔中は非常に発達した卵巣卵とてん卵腺(又は包卵腺)で満たされていた.本邦近海の暖水域中にも多く見られるThelidioteuthis alessandriniは本種の幼形にすぎないのではないかという説もあるが, 本標本級の大きさのものから外套長30mmくらいまでの大きさの連続する標本が得られなければ結論は下せない。
- 1976-06-30
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