八丈島の魚類相
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
伊豆諸島のひとつで日本本土から南へ290km離れた太平洋上に位置している八丈島の魚類相を調査した.八丈島の近海には一年を通して暖かい黒潮が通過しているが,同島の沿岸部は火山性の岩礁が主体であり,サンゴの群落は岩盤上に発達するのみである.また琉球列島沿岸のようなサンゴ礁の発達がみられない理由の一つとして,黒潮の流軸位置の変動が沿岸部の水温に大きな影響を与え,低水温がしばらく続くような状況が繰り返し起こることが関係していると考えられる.しかし,黒潮の上流部にあたる琉球列島はもちろんのこと,地理的に近い小笠原諸島や伊豆半島沿岸などからの分散により,熱帯性と温帯性の双方の魚種が出現するため,豊かな沿岸魚類相が形成されていると予想されていた.国立科学博物館および神奈川県立生命の星・地球博物館に集積されつつある標本および画像資料,そして既存の文献や2001年11月に行った現地調査の結果も加えて,八丈島における包括的な魚種リストの作成を試みた.その結果,同島には少なくとも98科702種が出現することが判明した.このリスト中には未記載の可能性のある種や日本初記録種も含まれているが,他の研究機関の研究者によってすでに報告の準備が進められている種や追加標本に基づく精査が必要な例が多かったため,本報告では簡単な注釈のみの付記にとどめた.
- 2002-12-25
著者
-
松浦 啓一
国立科学博物館標本資料センター
-
瀬能 宏
神奈川県立博物館
-
篠原 現人
国立科学博物館動物研究部
-
松浦 啓一
国立科学博物館
-
古瀬 浩史
自然教育研究センター
-
菊池 健
八丈ビジターセンター
関連論文
- GBIFについて : 利用とデータ提供
- Stiphodon pelewensis Herre, 1936の再記載とその標準和名
- 伊江島で採集された日本初記録のフカミヤッコ(新称)(スズキ目キンチャクダイ科)
- 相模灘産魚類目録および黒潮流域の沿岸性魚類の動物地理
- 日本およびパラオで採集されたハゼ科ベニハゼ属の2新種
- ベトナム沖の南シナ海から採集されたフグ科キタマクラ属の希種ホクロキンチャクフグ(西太平洋地域の生物多様性インベントリー 第2期:インドネシア及びマレーシア)
- ダルマガレイ科のタイコウボウダルマ(新称)の西部太平洋からの初記録とルアーとしての背鰭第1軟条の役割
- 1K4 国際科学プロジェクトによる分散型データベースの著作権処理と活用(著作権の動向,21世紀の教育改革の行方を探る)
- 日本初記録のハゼ科魚類カブキハゼ(新称)
- 南日本から得られたハゼ科ベニハゼ属の2新種
- 西表島で採集された日本初記録のメガネベニハゼ(新称)
- 西表島で採集された日本初記録のホシクズベニハゼ(新称)
- 南日本から採集されたハゼ科ベニハゼ属の2新種
- 琉球列島より得られたテッポウエビ類と共生するハゼ科3種の記録
- 西部太平洋産ハゼ科魚類の1新種ヒメサツキハゼ
- フエダイ科魚類ミナミフエダイの日本からの記録および稚魚期における近似種との区別点(短報)〔英文〕
- 八丈島の魚類相
- トラフグ属の学名はなぜ Takifugu Abe, 1949 となるのか
- 長崎県橘湾の魚類
- GBIFについて : 利用とデータ提供
- 本州から採集されたカワハギ科の稀種メガネウマヅラ
- 自然史系博物館のGBIFへの貢献
- 先達に聞く
- 青森県から得られたツバメコノシロ科魚類ミナミコノシロEleutheronema tetradactylumとその標徴に関する新知見
- トラック諸島,ポナペ島およびマジュロ環礁で1982年6〜8月に採集された魚類(北赤道海流域における海産動物相調査報告 : II.1982年6〜8月の調査によるトラック請島,ポナペ島とマジュロ環礁のサンゴ礁動物相の研究)
- 移入種による生物多様性の攪乱 (特集:移入種による生物多様性の攪乱)
- 日本に魚は何種いるのか--既知種と未知種をめぐる問題 (特集:日本の生物はどこまでわかっているか--既知の生物と未知の生物)
- 奄美大島より得られた日本初記録のハゼ科トゲアワセイソハゼ(新称) Sueviota larsonae
- 日本から採集されたハゼ科の1新種Eviota masudai(アカイソハゼ)
- 皇居道灌濠の魚類相
- 徳島県伊島の沿岸性魚類
- 1. 日本産魚類のデータベース(日本動物分類学会第36回大会講演抄録)
- 自然史系博物館のネットワークと生物多様性情報 (特集 生物多様性を読み解く)
- フグ科魚類の自然史 (特集 自然史と自然史博物館) -- (自然史のおもしろさ)
- ヨウジウオ科カスミオイランヨウジ(新称) Dunckerocampus naia の日本からの記録
- 奄美大島より得られた日本初記録のテンジクダイ科カクシヤツトゲテンジクダイ(新称)
- パラオ諸島とヤップ諸島から得られた魚類(北赤道海流域における海産動物相の調査報告 : I.1980年6〜7月の調査によるパラオとヤップ諸島のサンゴ礁動物相の研究)
- "カサゴ目"魚類の系統学的研究 : 1998年以降の新しい情報
- カサゴ目魚類の系統類縁関係 : 概説
- フサカサゴ科の1種Scorpaenodes varipinnisの日本からの記録
- カサゴ目魚類の系統類縁関係:研究史,現状および問題点
- 琉球列島から記録されたイソギンポ科魚類カエルウオモドキ Istiblennius dussumieri とその鮮時の色彩
- 皇居の生物相 : III.昆虫相
- 皇居の生物相 : II.動物相(昆虫類を除く)
- 小笠原諸島から採集された日本初記録のエソ科アカエソ属の2種
- オキハギ属2種の和名と学名
- 曖昧な地名照合手法を用いた生物種標本の地図ブラウザ構築
- 曖昧な地名照合手法を用いた生物種標本の地図ブラウザ構築
- 曖昧な地名照合手法を用いた生物種標本の地図ブラウザ構築
- 日本動物分類学会シンポジウム報告
- ICLARMで作成されている魚類データベース
- 国連食料農業機構の西部および中央太平洋の魚類同定ガイド作成作業部会
- インド・西太平洋から得られたモヨウフグ属の1新種
- 北海道東部の沿岸性魚類
- メイタイシガキフグとイガグリフグ(新称)の日本からの記録〔英文〕
- 日本初記録のキタマクラ属の2種
- 北海道北部の海産魚類
- 日本初記録のヤシャウツボ(新称)
- 下北半島の魚類
- 舳倉島の海産魚類
- ナウール,ギルバート諸島およびソロモン両諸島から採集された魚類(北赤道海流域における海産動物相調査報告III.1984年7〜9月の調査によるナウール,ギルバート諸島およびソロモン諸島のサンゴ礁動物相の研究)
- 飛鳥の海産魚類
- 奄美大島で採集された日本初記録のツキヒハナダイ(新称)(スズキ目カワリハナダイ科)
- 琉球諸島から得られたハゼ科の1新属新種マツリビハゼ(新称)
- 琉球列島で採集された日本初記録のハゼ科魚類4種
- 日本初記録のべニハゼ属3種
- 日本初記録のべニハゼ属3種
- 斎藤報恩会自然史博物館の歴史的に重要な魚類標本
- 日本から採集されたシキシマハナダイ科稀種の稚魚
- 日本初記録のハタ科魚類シラヌイハタ(新称) Epinephelus bontoides
- 米国国立自然史博物館に所蔵される古い相模灘産魚類標本
- フグ亜目魚類3種の日本からの記録〔英文〕
- 伊豆半島沿岸で採れたホシノハゼ Acentrogobius hoshinonis について
- サバフグ属魚類のLagocephalus wheeleri Abe, Tabeta & Kitahama, 1984はTetrodon spadiceus Richardson, 1845(条鰭類,フグ目,フグ科)の主観新参異名
- 日本から得られたイボオコゼ科の1新種
- 国立科学博物館開館130年記念 魚類の系統と多様性に関する国際シンポジウム
- 琉球列島から採集されたマスダオコゼ属の1新種(真骨区:イボオコゼ科)
- 相模湾から採集されたアゴアマダイ科魚類の稀種ヒメアゴアマダイ
- 琉球列島産ゴンベ科の稀種クロホシゴンベ
- 九州から得られたへラガンゾウビラメおよびモンダルマガレイの2標本について
- 小笠原諸島から得られた日本初記録のイソギンポ科シシマイギンポ(新称) Cirrisalarias bunares
- 日本から採集されたトラギス科トラギス属魚類の3新種
- アオスジオグロベラ(新称)の日本からの記録
- 室戸岬沖の深海層から採集された日本初記録のアシロ目アシロ科の稀種バケアシロ(新称)
- 講演録 分類学の入門者が効率よく学名と命名法の知識を得るために (特集 生き物を分類するってどんなこと?)
- 外来生物法はブラックバス問題を解決できるのか?
- 環境保全の現状(42)外来生物法とオオクチバス--特定外来生物指定をめぐる攻防
- 多様性保全か有効利用か--ブラックバス問題の解決を阻むものとは (特集:移入種による生物多様性の攪乱)
- 沖縄島で採集された日本初記録のサオトメハゼ(新称)(スズキ目ハゼ科)
- 日本から採集されたシキシマハナダイ科稀種の稚魚
- 琉球列島から得られた日本初記録のハゼ科3種
- 生物多様性研究と標本データベースの役割 (特集:系統・分類生物学)
- 分類学者が絶滅を逃れる道 : 生物多様性研究における分類学の役割(第8回日本動物分類学会賞受賞記念論文)
- 東北太平洋側の深海から得られた魚類
- GBIF(地球規模生物多様性情報機構)の到達点と展望
- 屋久島産標本に基づくヒラスズキLateolabrax latusの再記載と河川における生息状況
- カドガワフエダイ(新称)Lutjanus johniiの日本からの初記録
- 有明海におけるシマフグとナシフグの雑種出現〔英文〕
- 下北半島の魚類
- カドガワフエダイ(新称)Lutjanus johnii の日本からの初記録