ベトナム沖の南シナ海から採集されたフグ科キタマクラ属の希種ホクロキンチャクフグ(西太平洋地域の生物多様性インベントリー第2期:インドネシア及びマレーシア)

概要

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ホクロキンチャクフグは,ハワイ諸島から採集された4個体の標本に基づいてAllen and Randallが1977年にCanthigaster inframaculaとして新種記載した後,小笠原諸島から1個体が採集されたのみであった.キタマクラ属の多くの種は浅海のサンゴ礁や岩礁に生息するが,本種は水深100mを超える深い海に生息する.西部太平洋のインベントリー調査プロジェクトの一環として南シナ海のフグ科魚類を調査している過程で,ベトナム中部と南部から採集された本種の標本を調査する機会を得た.本報告に用いた3個体は,ハワイ諸島や小笠原諸島から採集された標本と同様に,水深60-140mのかなり深い海からトロールによって採集された.本種の原記載論文や小笠原諸島から採集された標本を扱った論文では新鮮な標本の色彩が不明であったが,本報告によって本種の体は背部が茶色で腹方に向かって白くなること,眼から尾鰭基部に向かって1本の暗褐色縦帯が走ること,腹側部に眼とほぼ等しい大きさの1暗褐色斑をもつこと,眼から暗褐色線が放射状に走ること,体背部には短い不規則な暗褐色線が複数走ること,背鰭,臀鰭および胸鰭はほぼ透明でやや黄色を帯びること,そして尾鰭はほぼ透明で鰭条に暗黄色の点が散在して背腹方向に走る数錠の列を構成することが明らかになった.

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