牛肉の消化におよぼす食塩・リン酸塩の影響
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概要
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牛肉のすりつぶしたもの(ground meat)に食塩・リン酸塩を添加して水煮した場合,食塩およびリン酸塩の添加が牛肉蛋白質の消化にどのように影響するかについて,ペプシンによる人工消化試験を行なった.1.食塩単独添加の場合,食塩の添加量が増すにしたがい,消化性は低下した.生肉及び加熱肉(120℃で1時間処理)とも,肉に対する食塩添加量が5%(消化液の食塩濃度0.2%)までは食塩添加による消化性の低下はごくわずかであるが,加熱肉の場合は添加量が10%(消化液の食塩濃度0.4%)以上になると急激に低下した.食塩添加量を10%にして60°,80°および100℃に30分および60分加熱した場合,その消化性において添加の影響はさほど認められなかったが,120℃の加熱では食塩添加の有無にかかわらず,消化性は低下し,食塩の存在下では加熱時間が60分になると,その現象は著しかった.2.各種リン酸塩あるいは市販結着剤を肉に対して0.5%添加した場合,生肉及び加熱肉(100°,120℃で1時間処理)ともリン酸塩の種類によって消化性は低下した.消化性低下の度合はヘキサメタリン酸ナトリウム,メタリン酸カリウムが大きく,ピロリン酸ナトリウム,ピロリン酸カリウムおよびトリポリリン酸ナトリウムはさほど影響しない結果を得た.これらの現象は添加量を1%に増しても同じであった.また市販結着剤ではメタリン酸ナトリウムとメタリン酸カリウムの配合の多い組成のものにおいて消化性の低下が著しかった.リン酸塩と食塩を併用添加すると食塩の単独添加の場合よりも消化性は低下し,ヘキサメタリン酸ナトリウムやメタリン酸カリウムにおいて顕著であった.
- 千葉大学の論文
- 1967-12-31
著者
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