水溶液中におけるビタミンB_1塩類並に誘導体の加熱に対する安定性について
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概要
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ビタミンB_1塩酸塩,ビタミンB_1硝酸塩及びディベンゾイルチアミン塩酸塩(DBT塩酸塩)の3者につき緩衝液中及びカルシウム塩を添加した馬鈴薯澱粉溶液中における熱に対する態度を比較した.(イ)pH2.2から8.0の間において,pHが上昇するに伴い何れのB_1も少しずつ残存率は低下した.DBT塩酸塩はアルカリ側で他のものより高い残存率を示した.(ロ)pHと加熱時間を一定にした場合.B_1の残存率は温度の上昇に伴い低下した.DBT塩酸塩は他の2者より安定であった.(ハ)pHと温度を一定にした場合,B_1の残存率は加熱時間の増加に伴い低下した.DBT塩酸塩は他の2者より安定であった.(ニ)溶液中のB_1の濃度に関しては何れもB_1の残存率に差がなかった.(ホ)カルシウム塩を含む馬鈴薯澱粉溶液において,炭酸カルシウムと共存するB_1は非常に容易に分解し,その残存率は殆んど0であった.乳酸カルシウムと共存するものは約半分が分解した.同じ条件で燐酸2カルシウムと共存するものは僅かの分解であった.カルシウム塩を共存させて加熱した場合,3種類のB_1の安定度は次のようであった.DBT塩酸塩>B_1硝酸塩>B_1塩酸塩但し燐酸2カルシウムの場合はB_1硝酸塩が優れていた.結論としてDBT塩酸塩は他のB_1塩よりも加熱に対して安定で,食品のB_1強化用として効果的であることが認められた.終りに本実験のために試料を提供下さった武田薬品工業株式会社に厚く謝意を表する.
- 千葉大学の論文
- 1962-12-31
著者
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