動物恐怖に対するメンタル・リハーサル技法によるイメージの効果
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概要
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イメージを用いる心理療法が多く用いられている.そこで本研究では,イメージの特徴と心理療法の効果について,実験的に調べることを目的とした.イメージ療法としては,メンタル・リハーサル技法を用いた.実験手続きは,まず被験者を自己コントロール技法の中のリラクセイション技法を用いリラクセイション状態に導いた.そこで,ハツカネズミに対する恐怖行動を和らげるために,ハツカネズミのイメージを浮かべさせ,その内容を,気持ちの悪いものから,平気,かわいいというよう変化するように指示した.資料としては,この手続きの前後に,自己の恐怖を予想させたものと,実際にハツカネズミを手に取り,なでるという行動を行なわせて測定した.結果は次の通りである.(1)メンタル・リハーサル技法による効果が明らかに見られた.(2)メンタル・リハーサル技法による改善は恐怖行動よりも恐怖心に対しての方が大であった.(3)イメージの鮮明度と恐怖行動の改善には関係がみられなかった.臨場感と恐怖行動の改善の間には,正の関係が見られた.(4)ハツカネズミにもともとさわれる被験者には,気持ち悪い内容のネズミは浮かびにくく,もともとさわれない被験者には,浮かびやすかった.これらのことより,イメージを用いる心理療法において,イメージと効果との関係では,求められる状況のイメージが浮かぶということと,高い臨場感が必要であるということが考えられる.
- 1990-03-25
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