高齢者施設における身体拘束廃止の取り組みに関する調査

概要

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本研究の目的は、高齢者介護施設における身体拘束廃止の現状と、廃止後の変化を明らかにすることである。調査方法は、郵送によるアンケート調査とした。回収率は52%で結果は全て拘束廃止に取り組んでおり、「全面廃止」が33%、「部分廃止」が16%、「必要に応じて廃止」が41%であった。拘束廃止を進めるにあたって効果があると考えられるものを7項目あげ、実施の有無を尋ねたところ、60%以上の施設が実施していたのは、「定期的なカンファレンスの実施」65.8%と「外部の研修会参加」64.6%であった。また、拘束廃止の際に講じる措置として考えられる項目を6項目あげ、同様に実施の有無を尋ねた。そのうち83%の施設が、「家族・利用者への説明」を行っており、「介護・看護者の増員」を行った施設は13.7%あった。廃止後の変化については9項目について回答を得、多くの施設が変化を肯定的に捉えていることが伺えた。また、拘束廃止を進めるにあたって効果があると考えられる7項目の実施の有無別に廃止後の変化を割合で示し、実施群と未実施群として比較すると、廃止後の変化に未実施群より実施群の方が影響を与えていると考えられた項目は「施設内での研修会開催」で、すべての変化に関与していることが推察され、次いで「職員の外部への研修参加」、「マニュアル作成」であった。これらのことから、拘束を全面廃止することは困難だが、廃止に取り組むことで肯定的な変化を感じており、拘束廃止には人員の補充をするのではなく、施設単位で拘束廃止に取り組むこと、施設外の情報を得ること、利用者とその家族の理解が得られるように説明することが重要な点であることが示唆された。
山口県立大学の論文

高齢者施設における身体拘束廃止の取り組みに関する調査

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