多動性に着目した幼児行動チェックリストの臨床応用
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概要
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[目的]就学前の幼児を対象とした多動性に着目して開発した行動チェックリストについて,医療機関を受診した幼児を対象として臨床的有用性を検討した。[方法]平成17年1月から11月までに療育相談会,山口リハビリテーション病院小児科,済生会山口総合病院小児科を受診した就学前の幼児22例(年齢:2.8〜6.0歳,男/女=19/3)の保護者を対象とした。対象児の診断は広汎性発達障害(PDD)13例,注意欠陥/多動性障害(AD/HD)2例,PDD+AD/HD1例,高機能広汎性発達障害(HFPDD)1例,その他5例だった。多動性7項目,旺盛な好奇心6項目,破壊的な関わり4項目,不適切な関わり3項目,強い癇癪4項目,運動のアンバランス1項目の6カテゴリー25項目からなる行動特徴チェックリストを用いた。各項目に0「ない,もしくはほとんどない」,1「ときどきある」,2「しばしばある」,3「非常にしばしばある」の評価尺度を設けた。PDD, AD/HD, PDD+AD/HD, HFPDDの4障害群(17例)について,3歳健診群の平均値を基準にして評価尺度の相対値を求め,6カテゴリーの平均値の群間比較を行った。[成績]多動性カテゴリーのうち「ちょろちょろ動いている」「走り回っている」「一定の所で遊べない」でADHD群がPDD群に比べて有意に高値だった。強い癇癪カテゴリーでは「頭を床や壁に打ちつける」はADHD群が,「反り返る」は有意にPDD群が高値だった。カテゴリー間の比較では,多動性カテゴリーでADHD群がPDD群よりも有意に高値だった。HFPDD群の旺盛な好奇心カテゴリーと強い癇癪カテゴリーの高スコア傾向,PDD+AD/HD群の破壊的な関わりカテゴリーの高スコア傾向を認めた。[結論]多動性カテゴリーでAD/HD群がPDD群よりも有意に高値で,「ちょろちょろ動いている」「走り回っている」「一定の所で遊べない」はAD/HDの診断に有用な項目だった。旺盛な好奇心と癇癪はHFPDDで,破壊的関わりはAD/HD+PDDで有用な項目の可能性がある。
- 山口県立大学の論文
- 2006-03-22
著者
-
木戸 久美子
山口県立大学看護栄養学部看護学科
-
中村 仁志
山口県立大学看護学部
-
林 隆
山口県立大学看護栄養学部看護学科
-
林 隆
名古屋市立大学 小児科
-
木戸 久美子
山口県立大学看護学部
-
東谷 敏子
社会福祉法人光栄会うべつくし園
-
東谷 敏子
山口県立大学大学院健康福祉学研究科
-
大本 二三幸
山口県立大学大学院健康福祉学研究科
-
山川 宏昭
山口リハビリテーション病院
-
山川 美香
山口リハビリテーション病院
-
大谷 美絵
山口リハビリテーション病院
-
北山 良平
山口リハビリテーション病院
-
茂木 千絵
山口リハビリテーション病院
-
木戸 久美子
山口県立大学看護栄養学部
-
林 隆
山口県立大学大学院健康福祉学研究科
-
林 隆
山口県立大学 看護学科
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