日本の病院における倫理的問題に対する認識と対処の現状 : 看護管理者の視点をめぐって

概要

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病院で生じている倫理的問題は従来、関係者間だけで対処されてきた。近年、倫理委員会の設置が増加しているが、委員会が倫理的問題の対処に果たしている役割は明らかではない。そこで、日本医療機能評価機構の認定病院2,164施設の看護管理者を対象に倫理的問題の認識と対処に関する無記名の質問紙調査を行った。現場の看護者が倫理的問題に「悩んでいる」とした者は64%だったが、「個人差がある」が30%みられた。同様に問題に関する意識・関心も31%が「個人差がある」としており、認識の差が考えられた。現場で生じる倫理的問題の対処方法では、病棟や部署のカンファレンスにおける検討や個人面接が多く、病院の倫理委員会に問題が申請されるのは非常に少なかった。申請された内容は医師の治療方針、人を対象とした研究・治療が主だった。倫理的問題の解決・軽減に関連していたのは、問題に対する意識・関心、問題検討の場や機会の存在、倫理委員会での倫理コンサルテーションの実行だった。
日本生命倫理学会の論文
2008-09-21