倫理的問題に対する助産師の認識に関する研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
Various ethical issues have arisen in the medical field and the awareness and response to them are thought to affect the clients’quality of life.There is a possibility that midwives,who are involved in assisting child delivery,are faced with medical issues and caught in dilemmas of demands between doctors and clients.In this research,therefore,a questionnaire study was conducted with midwives in a certain prefecture.The questionnaire items were taken from the 17 items developed by Okaya et al,asking about ethical awareness and response to issues as well as about the issues midwives were faced with.The 128 valid responses were used for the analysis.As a result,we have found that 1)the midwives’awareness seemed to be affected by their age and career;2)more than 70%of the midwives dealt with the issues by consulting with doctors,clients and a third party;3)some midwives followed directives of doctors which they did not think the best,implying the relationship to the midwives’expertise and independence;4)the issues they were faced with included abortion,pre-natal diagnosis,and handling of personal information;5)almost 30% of the midwives had received no educational training in ethics.Thus the midwives were aware of conflicts in professional values and of the lack in their own self-competency.Their awareness and response to ethical issues seem to be related to their career.Therefore,the necessity of educational training on ethics has been pointed out.医療の場では様々な倫理的問題を含む状況が生じているが,その問題の認識と対処は医療の質(Quality of Medical Care)の質に影響すると考えられている。医療職の中でも助産師は医療行為である分娩介助を業務としているため,医師と対象者の間の倫理的問題に直面し,ジレンマを感じている可能性がある。そこで,A県下の助産師を対象に,岡谷らが作成した17項目の倫理的問題に対する認識,問題状況への対応および実際に感じている問題に関して質問紙による調査を行い,回答が得られた128名を分析対象とした。その結果,①助産師の倫理的問題に対する認識には,年代や職業キャリアが影響している可能性がある ②倫理的問題への対処として,70%以上の助産師が第三者や当事者との話合いを行っていた ③倫理問題の特性として「最善でないと感じる医師の指示に従う」があり,助産師の専門性や主体性が関与している可能性がある ④実際に感じている倫理的問題は,妊娠中絶,出生前診断,個人情報の取扱いなどがあった ⑤倫理に関しての教育体験がないと回答した者が30%おり,改善の余地がある。以上のことから,助産師は職業的価値観と自己の能力や価値観に関連する倫理的問題を感じており,その倫理的な認識や対処にはキャリアが関連している可能性があることから,医療の場でのカンファレンスや倫理に関する学習の必要性が示唆された。
- 九州大学医学部保健学科,School of Health Sciences, Faculty of Medicine, Kyushu Universityの論文
- 2005-02-18
著者
関連論文
- 10th Annual National/International Evidence-Based Practice Conference参加報告
- 日本の病院における倫理的問題に対する認識と対処の現状 : 看護管理者の視点をめぐって
- 6. 病院看護職における婚姻状況とうつ尺度の関係(第49回中国四国合同産業衛生学会, 地方会・研究会記録)
- 就労女性の尿失禁の実態と腹圧性尿失禁の危険因子に関する分析
- 唾液中プロスタグランディンD_2とマタニティブルーズ発症予測
- P307 看護職における職業性ストレス・生活習慣と精神的不健康度の関連性
- 14.女性看護職の職業性ストレス,抑うつと生活習慣の関連(第45回中国四国合同産業衛生学会)
- VDT作業従事者の健康診断個人票からみたVDT関連愁訴・視力及び評価の分析
- 有機溶剤取り扱い作業者の第一子の男女比について
- 某製造業における従業員の飲酒とストレスの関係
- 医学生の死および末期医療に関する意識調査
- I108 VDT作業従事者の健康診断個人票からみたVDT関連愁訴の分析
- 高齢者施設における身体拘束廃止の取組みと事故に関する研究
- 対応に迷うケースに出会ったら--それでもケアをしなければならない看護師のために(10)高齢者施設内での恋愛を認めたくない周囲の人々
- 山口県内の産業保健に携わる看護職および衛生管理担当者の業務実態調査
- 山口県の産業保健に携わる看護職および衛生管理担当者の業務実態調査
- 日本公衆衛生雑誌50巻記念事業第2回会座談会「疫学研究と倫理」
- 胎児治療に対する意識に関する研究 : 一般学部・法学部・医学部・看護大学における意識調査
- 25.訪問リハビリテーション導入に伴う在宅ケア担当者の意識の変化
- 対応に迷うケースに出会ったら--それでもケアをしなければならない看護師のために(4)帰宅願望の強い認知症高齢者への対応
- 倫理的問題の認識に関する助産師の専門性と職業キャリア
- 対応に迷うケースに出会ったら--それでもケアをしなければならない看護師のために(6)子ども虐待をほのめかす母親への介入
- 対応に迷うケースに出会ったら--それでもケアをしなければならない看護師のために(5)腰痛が悪化しながらも助言や支援を拒む介護者
- 倫理問題に関する看護職(臨床看護師と保健師)の認識の比較
- 倫理的問題に対する看護職の認識
- 倫理問題に対する看護職の認識に関する研究
- 対応に迷うケースに出会ったら--それでもケアをしなければならない看護師のために(7)長期入院で社会への適応能力が低下した患者の退院支援
- 女性看護職の精神健康と労働時間の関連性 : キャリア継続支援のための看護管理についての検討
- 福江浩美先生のご逝去を悼んで
- 産褥期ブル-のスクリ-ニング (助産婦のための退院指導マニュアル) -- (退院指導の基礎--健やかな産褥経過のために)
- マタニティブルーズ発症予知に関する基礎的研究 : 妊婦の精神身体状況とPGD_2との関連
- 父親意識の発達に関する研究I : 妊娠期の妻をもつ夫の親意識
- 倫理的問題に対する助産師の認識に関する研究
- 対応に迷うケースに出会ったら--それでもケアをしなければならない看護師のために(8)死産児への面会に対する家族の対応の違いへの支援
- 対応に迷うケースに出会ったら--それでもケアをしなければならない看護師のために(3)超音波検査で胎児奇形が疑われた親の意思決定への支援
- 妊娠期の妻を持つ夫のソーシャル・サポート
- 高齢者施設における身体拘束廃止の取り組みに関する調査
- 群集構造解析プログラムPACS(A Program for Analyzing Community Structures)とその応用について
- 看護職における職業性ストレス,生活習慣と精神的不健康度の関連性
- Awareness of Ethical Issues by Nursing Professionals at a General Local Hospital in Japan
- 生命倫理学教育への取り組み : 医学部の学生が持つ看護の視点について
- 教育課程の違いによる看護・介護の視点の特性に関する研究 : 高齢者事例のアセスメント内容の分析を通して
- 頸部下ドーム型サウナ使用時の生理.心理反応
- 看護教育者の倫理問題の認識と倫理教育との関連性
- 対応に迷うケースに出会ったら--それでもケアをしなければならない看護師のために(9)うつ病が疑われる従業員のプライバシーへの配慮
- 高齢者の抑制廃止の取組みに関する研究 : 既に取組んでいる施設の調査を通して
- 頸部下ドーム型サウナ使用時の生理心理反応
- 特別記事 看護専門職の特性を踏まえた倫理問題への対応に向けて
- 高齢終末期患者のインフォームド・コンセントに関する医学生の意識 : 癌患者の事例検討に関する自由記載回答の分析より
- 生命倫理学教育への取り組み : 医学教育に看護の視点を
- 我が国の医療保険制度形成の歴史的背景と今後の視点抽出の試み
- 高血圧を伴う高齢者における入浴後の体位の違いによる循環動態の変化の検討
- 循環器健診での尿検査の意義
- 女性看護職の職業性ストレス、抑うつ状態および飲酒・喫煙習慣の関連 : ファジィ・クラスター解析法を用いた検討
- 交代制勤務が血圧と血清脂質に及ぼす影響
- 労働者の職業ストレスと抑うつ状態が問題飲酒に及ぼす影響
- 九州大学における医療系学部の合同教育カリキュラム(医療系統合教育)について(シンポジウム27 臨床薬学アドバンス教育の構築 : 他学部・他施設との連携教育-(国立大・私立大の取り組みから学ぶ),Enjoy Pharmacists' Lifestyles)